ウチヤマユージ先生の作品のよろこびのうた。
ある日、火葬場より老夫婦の焼死体が発見されました。
遺産のことや現場などの状況等から
原因は老老介護で将来を悲観されてと・・・。
しかしその夫婦の死の真相には
ある真実が隠されていて――。
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よろこびのうたのあらすじは？
旧火葬場から白骨化した2人の焼死体が見つかり
老老介護の末の焼身自殺かとニュースに・・・。
しかも火葬場脇に乗り捨てられた車からは
そのときに書き記されたメモが発見されました。
さらにはその車の所有者の自宅からは遺言書が発見され
県警は自ら火を付けて自殺を図った可能性が高いとみて
捜査を続けていました。
現場は墓地に隣接した使用されなくなって
30年は経つという火葬場。
発見された当時、車はエンジンのかかったまま
乗り捨てられておりクラシック音楽が大きな音で流され
不信に思った近隣住民が通報し発見された感じです。
近隣に住んでいる方の話では仲の良い夫婦だったものの
数年前から奥さんが認知症と糖尿病を患っていて
家事も介護もすべて旦那さんが引き受けていたと・・・。
そして自宅からは遺書と遺産を整理して
書き記した書類も見つかりそこには
市と菩堤寺に寄付すると記されていたのでした。
遺産のことや現場などの状況等から
原因は老老介護で将来を悲観されて・・・
そんな風に世間では言われたのです。
悲しい事件から半年後――。
よろこびのうた
編集記者の伊能は介護特集がらみで
現地取材を頼まれ向かった先は北陸。
そう、あの火葬場事件についてでした。
事件の資料を拝見したいと警察署に行くと
その事件の資料は公開できないと言われます。
この地はもともと事件とは無縁な静かな土地柄なのに
全国的に報道されてしまい親族から申し出があって
報道されている以上の資料を公開するのは
断ることに決まったと・・・。
しかも事件性はないと判断して
捜査も終わっている件だと言うのです。
仕方がなく伊能は親族の家に向かうのでした。
そして話を伺おうとするのですが
特に話も聞いてもらえずドアを閉められる始末・・・。
それでもドアを開けようとすると二度と来るなと
水をかけられてしまうのでした。
事件性はないと判断され終わった事件。
この事件は本当に老老介護の末の焼身自殺だったのでしょうか・・・。
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よろこびのうたのネタバレとその後の展開は？
老老介護の末に焼身自殺をしたと言われる青木夫妻。
親族に追い返されても伊能は近所の人に
色々と聞いて回りました。
しかしみんな奥さんの和子さんが認知症になり
それからはほとんど交流もないと言うのです。
和子さんは何年か前の夏から記憶が止まってしまい
新しいことの記憶が続かないらしいと。
夫の真さんもそんな和子さんにつきっきりりで
特にこの1年は和子さんの足の具合も悪く
ほとんど外で姿を見なかったため
声をかけるタイミングもなかったと言います。
お店などでも話を聞いたりもするのですが
思ったよりも深い話を聞くこともできません。
そんな中、伊能はあるタイヤ痕を見つけます。
更には学校帰りの少年を見かけ青木夫妻について
知っているかと声を掛けるのですが
何も知らないとだけ言って走って逃げるのです。
よろこびのうた
そして以前、青木家に通っていたという
ヘルパーさんにも話を聞きました。
和子さんが自分の顔を覚えてもらえず
だんだん呼ばれることが減っていき最終的には
介護用に車イスが乗せられる車に買い替えたから
もうヘルパーはいらないと言われたとか・・・。
車を買い替えてヘルパーに頼らなくなったのが
去年の7月で遺言書は事件の半年前の9月に作成。
介護用の車まで買ったのにわずか2ヶ月で
遺言書を作成しその翌年には心中で
展開が早すぎないかと伊能は思うのです。
更にはあの話を聞こうとしたら
逃げた子どものことも気になるのでした。
そしてある事件で見かけたタイヤ痕から
タイヤ痕はどのくらいの期間残るものなのか知り
事件の真相に近づいて行くのでした――。
偶然見かけたタイヤ痕にあの少年・・・。
展開が早すぎる遺書や心中。
いったいその裏には何が隠されているのでしょうか――？
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よろこびのうたの気になる結末は？
タイヤ痕について調べてから2日後・・・。
伊能は青木夫妻の親戚の家に再度訪れました。
しかし今度は追い返されることはありませんでした。
それは伊能が去年の6月に廃車手続きを行った
青木夫妻の車の件について聞いてきたからです。
伊能はなぜ以前乗っていたスターレットを廃車にしたのか
更にはそのスターレットは運転できる状態だったかなど
いろいろと質問をしていきます。
そしてたまたま見つけたタイヤ痕から一人の男が
捜索願いが出されていることに気づきました。
それも青木夫妻の車を廃車手続きした同じ月。
タイヤ痕のあったあの場所で何があったのか
伊能は青木夫妻の親戚に聞こうとします。
しかし親戚の人はトイレだと部屋から出て行き
戻ってきたときには一緒にお酒を飲めと勧め
気が付いたときには縛られていました。
そしてそこには親戚の人だけじゃなく
伊能が聞き込みをした近所の人もいて――。
そこには悲しい真実があったのです。
よろこびのうた
認知症になってしまった和子さんと
2人仲良く暮らしていた真さん。
真さんが畑仕事をしている間はトラックの荷台で
和子さんは車イスに座って待っています。
近所には幸太郎くんという赤星さんのところの
息子がいましたがちゃんと食べているのかと思うほど
かなり痩せているのです。
父親は競馬ばかりしていて幸太郎くんが
お腹が空いたと言うと忙しいからカップ麺でも
食べておけと言い出しないと言うとしつこいと
また殴られたいのかと言う始末で・・・。
部屋は散らかり働きもせず競馬ばかりで
更には呑んだくれているのです。
そしてお店ではここのお酒は高くないかと言い
誰が見てもロクでもない父親。
そんなある日、幸太郎くんの父親が
雨の中お酒を買って帰ろうと歩いているとき
学校帰りの幸太郎くんを見つけました。
お店での近所の人の自分への対応から
イライラしていた父親は幸太郎くんに当たり
仕舞いには殴る蹴るの暴力を・・・。
その現場を和子さんは見てしまったのです。
そして幸太郎を助けようとして和子さんは――・・・。
真さんはすべてのことを自分がやったことに
できないかと近所の人に頼みました。
和子さんは認知症も糖尿病もかなり進行していて
耐えられる体ではないからと・・・。
近所の人や幸太郎くんの協力もあり
何もなかったことになったある事件。
認知症により何も覚えていないはずの和子さんでしたが
その日の出来事は忘れられず夢でも苦しんでいます。
そしてそんな和子さんのため更には真さん自身も
高血圧が進んでいて和子さんを残すわけにはいかないと
あの事件が起きたのでした。
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よろこびのうたの感想は？
サスペンスやミステリーとジャンル分けされている本作。
表紙のイラストの可愛らしい感じの
おじいさんとおばあさんの姿に
どんな作品なのかと読んでみたくなりました。
幸せそうに暮らしていた夫婦に何が起きたのか
すごく気になってしまい試し読みでは終わらず
その先も読んでみてしまった本作。
悲しい事件こそ起きてしまったものの
こんな夫婦もいいなぁと思ってしまうような
とても仲の良い夫婦でした。
幸太郎くんのお父さんのことでとても悩んでしまい
夢の中まで苦しんでしまった和子さん。
そして高血圧が進んでしまって和子さんを一人
残すわけにはいかないと考えた真さん。
そこから2人が選んだ結末。
よろこびのうた
最後の日を2人の結婚記念日に選び
最後の日は一緒におそばを食べに行ったり
最後の晩餐をし死ぬときも一緒・・・。
悲しい事件こそあったものの
これはこれで幸せな最期だったのかもと
そう思えてしまえる本作。
そしてなぜ2人が火葬場を選んだのか・・・。
それは米農家にしかわからない発想で
先祖代々からの土地の真ん中で火葬して
灰になって土に還るという風習のようです。
悲しい現実もありましたが2人のような
死ぬときも一緒のような
仲の良い夫婦に憧れてしまいます。
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