坂本眞一先生の作品のイノサン Rougeルージュ。
死刑執行人としての定めを課せられたサンソン家の兄妹
シャルル-アンリとマリー-ジョセフは
己の信念を胸に別々の道を歩み出していました。
フランス革命の影の主役であるサンソンの
紅き純真(イノサン)たちの物語はいよいよ激動の時代へと――・・・。
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イノサン Rougeルージュのあらすじは?
かつては気弱で心優しい少年だったシャルルも今では
四代目ムーシュー・ド・パリとして人々に恐れられる存在となっていました。
以前なら罪人を苦しみから解き放つために細工をしていた
『車裂きの刑』も眉ひとつ動かさず執行するシャルル。
しかも息子であるアンリにその一部始終を見届けさせるという強要まで・・・。
それはさながら幼い日のシャルルと父バチストの姿そのものでした。
一方の妹マリーはプレヴォテ・ド・ロテルとして
自由きままに生きており彼女の目下の目的は唯一愛した男の
夢も命も踏みにじった貴族ド・リュクセを自らの手で処刑すること。
一度は刑を逃れたリュクセをマリーは強い興奮と幻覚作用のある
オオワライタケを練り込んだ紅を差し
くちづけをすることで罪を自白させて処刑へと導いたのです。
イノサン Rougeルージュ
処刑台の上で最後まで抵抗しようとするリュクセの足を払って
跪かせたマリーは一太刀にその首を刎ねるとこう言ったのです。
「平等(エガリテ)だろ?」
リュクセのこだわる平民と貴族の位の違いなんて
マリーの前にはなんの意味もないこと。
この世に絶対なんてないのだ・・・と彼女は胸中で呟きます。
リュクセに加担した者たちも全て処刑してみせたマリーを
シャルルは危機感を持って見つめていました。
この妹がやがてフランスの未来を揺るがす
存在になるかもしれない・・・と――。
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イノサン Rougeルージュのネタバレとその後の展開は?
物語はフランス革命に向かう前に
サンソン家の未来と過去に焦点が移ります。
シャルルの息子アンリは幼い頃のシャルルが
そうであったように純粋で傷つきやすい少年でした。
死体の臭いが染みついた自身の体が
腐っていってしまうのでは・・・という恐怖に怯え
サンソンの定めを受け入れることができないアンリ。
五代目ムッシュー・ド・パリとなる息子の不甲斐なさに
怒りを覚えるシャルルでしたが
1人の少女との出会いがアンリに変化をもたらすのです。
それは12歳にして子を身籠ったエレーヌという少女で彼女は未成熟な体と
胎児が通常よりも大きいことが原因で難産に苦しんでいました。
エレーヌを助けるには赤ン坊の頭を砕いて
掻き出す方法しかありませんでしたが婚家からは
母体よりも子供の命が優先と申しつけられていたのです。
それというのもエレーヌは貴族の出身なのですが
多額の結納金と引き換えにブルジョワ階級の平民に嫁がされた身。
嫁ぎ先にとっては嫁の命よりも
後継ぎの命の方が重要であるのは当然のことでした。
子供を助けるには帝王切開で取り出すしかない状況でしたが
当時は麻酔技術も発達していないため
エレーヌは激痛に苦しみながら外科処置を受けるしかありません。
当然、耐えがたい痛みと出血多量とで
彼女はまもなく死んでしまうでしょう。
依頼人に従えばそれもやむない選択でしたが
シャルルは子供も母体も助けたいと考えていました。
そのために“ダチュラ”という鎮痛作用のある
麻薬を手に入れて世界初の外科手術に臨むのでした。
腹違いの弟であるルイ-シャルル-マンタン・サンソンの協力の元
エレーヌの帝王切開が始まるとその力強い背中に
アンリは初めてサンソンであることを誇りに思うのです。
イノサン Rougeルージュ
自分の手は人を殺めるだけでなく人を助けることのできる手なのだ・・・と。
手術が成功してすっかり父と叔父を尊敬し
自らの未来に希望を持ち始めたアンリでしたが
その日の晩餐の席で恐ろしい宣告を聞くことになります。
「夫殺しの罪により、一週間後エレーヌ・ヴィルヌーブの絞首刑を
予定通りグレーヴ広場で執り行うこととする」
なんのためにエレーヌを助けたのかと問うアンリに
父は国王陛下の命に従って正当な処刑を行うためだと答えるのでした。
絶望に身が竦むアンリでしたが処刑場では
見事にサンソンの次期当主としての素質を垣間見せることに。
そして時間ははるか昔に遡り初代サンソンの歴史を紐解いていきます。
サンソン家の血塗られた運命は愛ゆえに始まり
愛ゆえに逃れられないものとなっていく様子が――。
シャルルやアンリ、そしてバチストが処刑人としては
弱き心を持ち合わせていたようにサンソンの始まりである初代サンソン家当主
シャルル・サンソン・ド・ロンヴァルもまた弱い心の持ち主でした。
それゆえに処刑人の娘であるマルグリットの策略にまんまとはまり
自身も処刑人へと道を歩み始めることになったのです・・・。
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イノサン Rougeルージュの感想は?
イノサンの続編であるこのイノサン Rougeルージュ。
表紙がマリーになったのでマリーに主人公が移行したかと
思われたのですがどうやらそんな簡単なものではないようです。
あくまでもシャルルとマリーを軸にしながらも
サンソン家の行く末と成り立ちにまで深く掘り下げ
来るべきフランス革命へと静かに時間が進んでいきます。
イノサンではシャルルの処刑人としての出生についての
葛藤がメインでしたがもっと大きな時代のうねりがやってきそうです。
そして妹であるマリーもなにやら密かに企んでいる様子。
今後がますます楽しみな作品です。
イノサン Rougeルージュ
作者の坂本眞一先生はツイッターなどで作画風景を公開されているのですが
素晴らしい緻密さにうっとり見入ってしまいます。
まさかこの美麗な筆致がデジタルだとは思っていなかったので
「デジタルでここまでの繊細な表現ができるのか!」と衝撃を受けてしまいました。
みなさんもぜひご覧になってみてくださいね。
フランス革命の役者が揃うまではもう少し時間がかかりそうです。
それまではこの美しすぎる物語に心酔しながら終末の日を待ちましょう――・・・。
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