伊藤実先生のアイシテル~海容~はドラマ化もされた作品。
被害者はごく普通の7歳の男の子そして加害者も
ごく普通だと思われていた11歳の少年。
2人が子供だったからこそ起こってしまった事件。
その裏には狂おしいほどの母への愛情がありました。
親子とはどうあるべきなのか?子供への愛情の注ぎ方とは?
さまざまな問題を提起する大人のためのマンガです。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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アイシテル~海容~のあらすじは?
小沢家ではいつものように慌ただしい朝を迎えていました。
春から小学生になったばかりのキヨタンこと清貴の連絡帳が読めないと言って
ママは頭を抱え当のキヨタンはといえば自分にも分からないときっぱり。
中学生である姉の美帆子はいつまでも幼い弟と
それを甘やかしているパパママにイライラを募らせているようでした。
この辺りでは変質者がたびたび出るようで
「心配だからキヨタンと一緒に登校して」というママの言葉に
「キヨタンがまっすぐ歩かないから、うざいっ!!」と怒る始末。
さっさと出て行ってしまう姉にキヨタンは
「お姉ちゃんカルシウム足りないね」と
二カッと笑ってパパママを和ませるのでした。
結局ママが途中まで送っていくことになったのですが
恥ずかしがって手を繋ごうとしないキヨタンの成長を噛みしめて
嬉しいようなさびしいような気分に。
子供はいつの間にか大きくなって
離れて行ってしまうのだと実感するのです。
そしてその日の午後、たまたま会った
幼稚園時代のママ友とのランチを楽しんで帰宅したママは
玄関にランドセルが置いてあるのに気付きます。
てっきり5時間授業だと思い込んでいたのに
変更があって4時間授業だったらしいのです。
「予定表チェックしておけばよかった…」とガックリするママでしたが
キヨタンが帰宅してからは10分足らずのはずでした。
公園にでも行っているのではと探しにいくものの見つからず…。
アイシテル ~海容~
お友達の家に電話をしたりしているうちにあっという間に夕方に。
暗くなれば帰ってくるはずだと思いつつも
ママはなぜか胸騒ぎがするのでした。
そして美帆子が帰宅しても美帆子からメールをもらった
パパが帰宅してもキヨタンは帰ってこないのです。
21時になっても帰ってこないキヨタン。
家族からの連絡を受けた警察は
付近の変質者情報の件もあって小沢家にやってきます。
捜索開始からどんどん時間が過ぎていき
深夜になってもキヨタンの行方は分からないまま。
そして夜が明ける頃、キヨタンは発見されたのでした。
誰もが望まない変わり果てた姿となって――…。
そして悲しい事件から1ヵ月――。
キヨタンを殺した犯人が逮捕されました。
しかしそれはまだ11歳の少年だったのです。
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アイシテル~海容~のネタバレとその後の展開は?
加害者である野口裕一は父母と3人でマンションに暮らしていました。
少し神経質なところがある母と子育てには関心のない父。
裕一はいつからか2人に心を閉ざして「ただいま」も言わずに
自分の部屋に帰宅するようになっていました。
事件当日、裕一とキヨタンとの間になにがあったのか…?
面識がないはずの2人の関係に誰もが疑問を抱くのですが
すべてを知っている裕一は詳しいことを語ろうとしません。
しかしそんな裕一の心をほどくヒントを
家庭裁判所の調査官である富田葉子が見つけるのでした。
きっかけはささいなことで面接中に裕一が
男性調査官を突き飛ばしたことでした。
男性調査官が裕一に触れたから過剰反応をしたのだと
富田はしばらくして気付きます。
後日、富田は裕一に尋ねたのです。
「裕一くんなにがあったの?4年生のときなにがあったの?」
裕一の手をぎゅっと握りしめる富田。
彼女に触れられても裕一は平気なようで
富田は自分の考えが正しいのだということを確認します。
涙をこぼす裕一は彼の心に重く沈んでいた真実を語り始めるのでした。
そしてキヨタンが殺されたあの日に
2人の間になにがあったのかもすべて――…。
アイシテル ~海容~
あの日、帰宅してもママがいないことに気付いたキヨタンは
はじめは玄関で待っていたのです。
でも急にトイレに行きたくなってしまって
困っていたところに通りかかったのが裕一でした。
公園のトイレまで一緒に行きたわいない話から遊ぶことになった2人。
裕一の部屋でくつろいだり外でキャッチボールをしたり。
しかしキヨタンの子供ゆえのストレートすぎる言葉に
裕一の表情はだんだんと曇っていって…。
そして些細なことをきっかけに
2人はお互いの母の悪口を言い合うように。
「お兄ちゃんはすごく悪い子なんだ。みんなお兄ちゃんを大嫌いなんだ」
ムキになるキヨタンが裕一にはひとりだけ
母に抱きしめられているかのように見えたのです。
カッとなってボールを投げつけ
そのままキヨタンを石に打ち付ける裕一。
「僕の母さんを悪く言うな!!」
正気に返った裕一は動かなくなったキヨタンを見つめそして
『ママはあなたが大好き』という看板を見上げてひとり呟くのでした。
「母さん…」
事件の背景を知ることで、被害者と加害者の母は
子供のことをなにも知らなかったのではないのかと悩みます。
裕一の母であるさつきは息子の身に起こったことも知らずに
裕一を抱きしめてあげなかった自分のせいで
事件が起こってしまったのではないかと。
一方のキヨタンのママである聖子も無邪気だと思っていた息子が
ひどい言葉を投げつけたことにショックを受けていました。
そして美帆子の心を知ることで自分は
「いい母親」なんかではなかったのだと気付かされます。
そして加害者の母であるさつきと被害者の母である自分とは
鏡に映った母親という存在の表と裏なのではないかと思うのです。
2人はキヨタンの墓前で会うことになります。
涙を流す彼女たちは立場は違えど
同じ母としての痛みを共有するのでした。
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アイシテル~海容~の感想は?
ひとつの事件を通して被害者と加害者の
それぞれの家族を描いた作品です。
決して息抜きにはならないし読後はなんとも言えない
重たい気分になるのですがぜひ読んでいただきたいマンガです。
もし自分の子が殺されたとしたら…
もし自分の子が加害者になってしまったら…。
あなたはどうするのでしょうか?
そしてまったく正反対の立場の母親を
理解することができるでしょうか?
現実にはとても難しいテーマですね。
タイトルにある海容とはこんな意味があります。
「海のように広い心で、相手のあやまちや罪を許すこと」
まさにこのマンガの大事なテーマを表している言葉です。
アイシテル ~海容~
聖子はキヨタンを失った悲しみや苦しみを静かに受け止めながら
ふとした瞬間にもう一度あの温かい存在を抱きしめたいと思います。
狂おしいほどの愛しさを感じて思わず涙がこぼれました。
ただただ抱きしめるだけでいい。
それだけでいいのに叶わない哀しみに胸が痛くなります。
物語は終わりません。
その後の家族の行方もしっかりと描いていきます。
そしてそれは「アイシテル~絆~」という
新しい命を主人公にした物語へと続いていくのです。
みなさんもぜひこのアイシテル~海容~を読んでみてくださいね。
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