よしながふみ先生が描く「男女逆転」大奥の物語。
江戸時代初期、男子のみがかかる謎の疫病・赤面疱瘡が蔓延し
男子の人口は女子の4分の1にまで減少
社会運営の根幹や権力の多くを女子が担うことになった世界。
江戸城でも将軍職を女子が継ぐことになり
大奥でも女将軍一人が希少な男子を囲い
美男三千人などと称される男の園になっていた・・・。
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大奥のあらすじは?
すでに女子が家督を継ぐのが定着しつつあった
七代将軍・家継の時代。
男子は希少な種馬として大事に育てられ婿に入るか
貧しい家に一晩いくらで貸し出されるか
遊郭で体を売って暮らすかの人生を送ることに。
貧乏旗本の家に育った水野祐之進は自らの身体を
無償で貧しい女たちに貸し出し種付けに応じていました。
そんな祐之進には想いを寄せる女性・お信がいましたが
彼女は裕福な薬問屋の跡取り娘であるため
身分違いの恋に悩んでいました。
あるとき祐之進に婿入りの話が舞い込んできます。
しかし祐之進はその縁談を断り婿に行くことより
もっと家のためにできることを見つけたと
大奥に奉公すると言い出したのです。
驚きを隠せない家族に大奥に上がれば手当てが出るだけじゃなく
自分の食いぶちが減ると家族を説き伏せる祐之進。
彼の意思は固くそれからまもなく
江戸城大奥へ上がることになったのです。
大奥
初めて見る大奥は噂どおり美男ばかりを集めた贅沢な場所。
大奥に仕える男子は八百名ほどその八百名が
細かい階級に分かれ生活をしていました。
大きく分けて将軍にお目通りがかなうお目見え以上と
お目通りの許されぬお目見え以下があり
祐之進はお目見え以下でしたが働きに応じてお目見え以上への
昇進も可能な「御三の間」という役職に就くことに。
大奥での名を「水野」とした祐之進はそれから男たちの
権力争いやいじめが渦巻く現実の大奥に失望しながらも
持ち前の武芸の腕と負けず嫌いな性格で
徐々に周囲の支持を得ていくことになります。
特に同じ御三の間の杉下は大奥に仕えて
10年の経験を生かし何かと水野を助け彼らの間に
信頼関係のようなものが芽生えていきます。
大奥の生活に飽き飽きしていた頃
水野は大奥内にある道場で美貌の剣客・鶴岡と
剣術の手合わせをすることになります。
剣の腕には自信がある水野でしたが対する鶴岡も
なかなかの腕前でほぼ互角の立ち回りをします。
勝負は僅差で水野の勝利で終わりいい手合わせができた水野は
嬉しさのあまり鶴岡に礼を言うのでした。
しかし鶴岡はそんな水野を睨みここで必要なのは
剣術の腕前などではない美しい顔と処世術だと言い放つのです。
鶴岡のそんな言葉にショックを受ける水野。
こんなにも輝くばかりの美貌や才能を持つ者達が
ひしめいているというのにここは暗い・・・心が暗いのだ――。
そんな中、七代将軍家継が病のためこの世を去り
八代将軍・徳川吉宗公が誕生したのでした。
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大奥のネタバレとその後の展開は?
大奥総取締・藤波の計らいでお目見え以上に出世した水野は
さっそく新しく就任した将軍・吉宗のお目見えの席に出ることとなります。
その席で水野を見染めた吉宗は彼を
「ご内証の方(未婚の将軍の初夜の相手)」に選びます。
しかしご内証の方に選ばれた者はその後、死罪になる運命であり
それこそが藤波の狙いだったのです。
藤波の策略に嵌まった水野はそれでも
運命を受け入れ吉宗と一夜を過ごします。
しかしその制度を知らなかった吉宗は水野を殺さず
表向きは死んだことにして「進吉」という
第二の名と人生を与え大奥を出すのです。
大奥を出た水野改め進吉は
念願だったお信と結ばれるのでした。
大奥
以後は吉宗の時代に追いつくまでの
家光時代以来の過去の歴史が描かれていきます。
男子だけがかかる病が日本中に広まりつつあった時代に遡り
その病で死去した三代将軍・家光の影武者として
生きることになった少女・千恵と無理矢理大奥に入れられた
僧侶・有功の恋を描いたエピソード。
千恵の娘で四代将軍・家綱、五代将軍・綱吉と
歴史が進んでいきます。
そんな中で男子の数は減少の一途をたどり家督は
女子が継ぐのが当たり前の時代へと突入していくことになります。
吉宗の時代まで物語が進んだ後、今度は未来へと時代は動き出し
吉宗から赤面疱瘡撲滅への意志が受け継がれていくことになります。
治療から、予防へ――。
赤面疱瘡対策が功を奏し男子の人口は次第に回復していき
家督が男子に戻っていきます。
そして色々な人々の思惑や業がうずまく中、時代は幕末へ。
今後どのような時代背景が描かれるのか楽しみな作品です。
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大奥の感想は?
「男女逆転」という今までにない発想で江戸時代を描いたこの作品。
2010年から次々と実写映画化・テレビドラマ化され人気を博しました。
誰もが一度は名前を聞いたことのある
歴史上の人物たちが次々と登場しますが
基本は八代将軍・吉宗のエピソードが主体となっています。
個人的にもこの吉宗が一番好きなキャラクターです。
聡明で武芸に秀で質素倹約を掲げるという彼女は
大奥の仕組みそのものを変えていくことに。
大奥
水野をうまく逃がした吉宗はその後すばらしい采配で
大奥の人員削減に取り組み男子が激減した世の中をも
変えようと奔走する男勝りでカッコイイ将軍です。
「吉宗・水野編」があっさり終わってしまったのは残念ですが
その後大奥の歴史の記録である「没日録」を読みはじめたところから
過去の歴史が語られていくのです。
この物語の背景は江戸時代ですが今の世の中にも
通じていると思われる要素が満載です。
そういう意味では時代ものが苦手な人にもおススメ。
かつ史実を壊さないように緻密に作り上げられている物語には脱帽です。
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