北村永吾先生の作品の怪人X~狙われし住民~。
自然が色濃く残る住宅地――
どこにでもある町には騒音トラブルや虐待など
ありふれた問題がポツリポツリと表面化していました。
転勤によってこの地に越してきた君塚家は
知らず知らずのうちに平凡な日常から
引きはがされていくことに・・・。
次々と住民たちに襲い掛かるサイコパスの凶行とは?
欲しいものを手にするためには
手段を選ばないという高山の目的は?
これは、あなたの町でも起こりうるかもしれない物語です。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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怪人X~狙われし住民~のあらすじは?
緑が色濃く残る住宅街に引っ越してきた君塚家。
幼い子どもを抱えながらの引越しは想像以上に大変で
ほぼ1人で荷物の運び込みをする
夫の明は早くもグチをこぼしていました。
それに対して妻の良枝は
引っ越し屋に頼めばよかったのだと返します。
まだ乳児である直人を抱っこしている彼女は
はじめからこの状況を予見していたのです。
そして見込みの甘い夫に対してひとこと。
「・・・何も見えてないのよ、アナタは」
険悪なムード漂う夫妻に1人の男性が声を掛けてきました。
町内会の役員をしているという高山は
挨拶もそこそこに引越しの手伝いを申し出ます。
はじめは遠慮していた明でしたが
ジムのインストラクターをしている高山は頼もしく
あっという間に荷物の運び込みが終わったのです。
近所に頼れる人がいることに心強さを覚える夫妻でしたが
帰り際に高山は不穏な言葉を残していきます。
「道をはさんだ家の平山というおばあさんには気をつけたほうがいい。
ちょっと難しい人なんでね・・・」
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怪人X~狙われし住民~のネタバレとその後の展開は?
高山の助言の意味を知る日はすぐにやってきました。
気が重いながらも引越しの挨拶をしに平山家を訪れた良枝は
手土産のタオルをつまらないもの扱いされてタジタジ。
さらに抱っこされている直人に気づいて
くれぐれも子どもを騒がせるんじゃないと
ギロリと睨まれてしまいます。
「私はうるさいのが大嫌いなんだよっ。騒音は人権侵害だからね!!」
そうまで言われたら良枝は気をつけますと答えるほかなく
高山の言う通りやっかいな人だと思ってしまうのです。
ため息をつきながら門を出た良枝は
この家の隣人であるという佐田に声を掛けられます。
佐田は子どものいない夫婦で定年を見越して
静かなこの地に引っ越してきた住民でした。
慎ましく暮らしていくのを楽しみにしていたのに
長年空き家だった平山家の隣の中古住宅を買ったばかりに
嫌がらせを受けているのです。
犬の鳴き声がうるさいというのが理由ですが
佐田に言わせれば言いがかりもいいところ。
実際には空き家の庭を畑代わりにしていた平山のばあさんが
自分の自由にならなくなったことに腹を立てているらしいのです。
毎日、鍬を振り回して佐田家の雨戸を
ガンガン叩いては暴言を繰り返すので
佐田の奥さんはすっかり参ってしまい
重度のウツになってしまっていました。
良枝も平山のばあさんが佐田家に
怒鳴り込みにいくのを目撃していたので
“騒音”にはくれぐれも気をつけないと・・・
と思うのですがそんなときにかぎって
直人がひどい夜泣きをしてしまうのです。
翌日そうそうに平山のばあさんがすごい剣幕で怒鳴り込んできます。
直人の夜泣きの声がうるさいのだと怒り
子どもを騒がせるんじゃないと
玄関ドアをバンバン叩いて威嚇する平山のばあさん。
あまりの勢いに震えることしかできない良枝でしたが
そこに高山がやってきて場を取りなしてくれたのでした。
「・・・あんな人・・・いなくなればいいのに・・・」
静まり返った玄関で良枝は人知れず涙をこぼします。
そして彼女の言葉はのちに現実となるのです――
善人の顔をした高山の手によって――・・・。
一見すればやっかいものは平山のばあさんですが
本当に恐ろしいのは住民の信頼を集めながら
自分の目的のために手段を選ばない高山のほう。
良枝はもちろん住民たちはまだ誰も
彼の真の顔に気づいていませんでした。
ただひとり・・・引越しの日に
君塚家をジッと見つめていた男を除いては――・・・。
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怪人X~狙われし住民~の感想は?
住民が信頼している男が実はサイコパスだったという本作。
私たちのすぐそばでもありえそうな現実感がゾクッとします。
“騒音”を訴えて迷惑行為を続ける老婆に
付き合っている女性の連れ子を虐待するクズ男。
隣人としてはいなくなって欲しい存在の彼らは
善人の仮面を被った高山によって粛清されていきます。
これだけ見れば高山はダークヒーローのような印象ですが
怖いのは誰かを救うための行動ではないというところ。
彼は自分の利害のために
他人の命を殺めているにすぎないのです。
平山のばあさんの件では佐田夫婦の大切なペットを利用して
積もりに積もった憎悪が噴き出すようにけしかけたり
虐待に苦しむ子の助けを乞う姿に気味の悪い笑みを浮かべたり・・・。
しかし失われていく隣人たちの命に
疑問を持つ住民たちはいないのです。
唯一なにかを知っていそうな男が登場しますが
高山との関係性がわからないうちは
信用していいのか迷うところ。
静かに進んでいく高山の凶行は
どれだけエスカレートしていくのでしょうか?
そして彼が手に入れたいと欲しているものとは――・・・?
作品のあとがきで作者である北村永吾先生は
高山のような人間は案外あなたのすぐそばに
いるかもしれないと警告します。
世の中にはサイコパスと呼ばれる人間が
たしかに存在していて彼らは稀有な存在ではなく
実は25人に1人はその素質を持っているのだと・・・。
あなたを親身に助けてくれる隣人の笑顔を
あなたは信じられますか?
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