葉月せい先生の作品緒ダンボールの棺おけ
~2007年 北海道幼児死体遺棄事件~。
小さな子どもを抱えるシングルマザー。
遊びたいし恋愛もしたいとそう思う母親は
なんと子どもを置き去りに・・・。
置き去りにされるも母親の帰りを待つ
子どもたちの結末は――?
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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ダンボールの棺おけのあらすじは?
2007年12月――。
川田良枝、21歳は懲役15年の刑を言い渡されました。
良枝は5歳の長男と1歳の三男を置き去りにし
三男を餓死させたのです。
良枝の両親は彼女が子どもの頃に離婚し
彼女を引き取った母親は生活苦のため
彼女を施設に預けあまり会いにきませんでした。
良枝は愛情に飢えて育ち高校へ進学せずに
16歳で結婚をしたのでした。
2人の息子を出産した良枝でしたが
次男が事故死しそれ以来
夫婦関係が悪化し離婚したのです。
離婚するときには三男を妊娠しており
母親を頼った良枝・・・。
しかし母親は無職で生活保護を受けていて
良枝たちまで食べさせるなんて無理と
面倒を見ることを断ったのでした。
そうやってまた自分を放り出すのかと
母親に泣きつく良枝に
母親は良枝も生活保護を受けたらと
更には出産や育児の手助けをすると約束。
その後は良枝も生活保護を受け
公営団地で暮らし三男の三太を出産。
なんとか子どもたちとの生活も
無事におくれていると思われた良枝。
しかし三太を出産し家に帰ってからの生活は
想像以上に大変なものでした。
三太は泣くし長男の一彦もお腹が空いたと
うるさく言ってきます。
子どもなんて産むんじゃなかった・・・
うるさいし面倒くさいし自由になりたい
また遊びたいし恋愛だってしたい―――。
ダンボールの棺おけ~2007年 北海道幼児死体遺棄事件~
自由になりたいと思った良枝は
夜の仕事をしたいと
子どもたちを母親に預けます。
そして客のひとりと交際を始め
夢中になった良枝は子どもを預けっぱなしにして
男と遊び回ったのです。
母親が注意するとその言葉をそっくり返すと
自分は愛情不足で育ったせいで
子どもを愛せない母親になったと
母親のせいにしたのでした。
更には交際相手からも子持ちを理由に
フラれてしまったのです。
それだけではなく夜の仕事をしていることが
市役所にバレてしまい生活保護も打ち切り・・・。
恋人にも会えず母親に子どもを預けて
遊びに行く子ともお金もなくて
どうしようと泣き出す良枝。
子どもたちは良枝が泣いているので
どうしたのかと心配したり
お腹が痛いのかと撫でてあげようとしますが
突き飛ばして文句を言い出すのです。
それからの良枝はというと・・・
子ども2人だけで留守番をさせ
夜の仕事を続けました。
しかもフラれた寂しさを埋めるために
すぐに別の客と交際を始めました。
男性は良枝に子どもがいると知っても
子どもたちも含め一緒に暮らさないかと
そう言ってくれたのです。
良枝のために言ってくれた男性。
しかし良枝は狭い部屋で暮らし始めたら
そのうち子どもたちは邪魔になるに決まってる
子どもを理由にフラれるのは2度とイヤだと
そう思うのでした・・・。
愛情に飢えて育ったから男から愛されたい良枝。
子どもなんて愛せない煩わしいだけ。
最初は子どもたちを施設に預けようかと
そう考えた良枝でしたが母親を散々非難しただけに
同じことはしたくない・・・。
そしてこうなったらもう
死んでもらうしかないと――・・・。
ある日の夜、良枝は子どもたちに
最後の食事をさせた後
部屋に2人を置き去りにしました。
すぐに帰ってくるから三太の面倒を
ちゃんと見てと一彦に言って・・・。
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ダンボールの棺おけのネタバレとその後の展開は?
子どもたちを置き去りにして
男性のところに向かった良枝。
もちろん男性には子どもたちは母親に預けたと
そうウソを言って同棲を始めたのです。
一方、母親が一晩中帰らず寂しい2人は
布団を引っ張り出して兄弟でくるまって眠ります。
翌日になっても母親は帰ってこないため
一彦は良枝を迎えに行こうとしますが
部屋には鍵がかけられているため開かず
固定電話もないため助けも呼べません。
更にはオムツが冷たくて泣き出す三太。
良枝に三太の面倒を頼まれた一彦ですが
オムツの替え方もわかりません・・・。
お腹も空いてきて冷蔵庫を開けてみますが
冷蔵庫の中はマヨネーズだけ。
2人はマヨネーズをなめながら
母親が帰ってくるのを待つのです。
そんな2人が寂しい思いをしている頃
良枝は男性の誕生日祝いをするため
レストランで食事をしていました。
それから1週間が経ち一彦は生ゴミや
生米まで口にしていました。
三太はすっかり衰弱していて
何も食べません・・・。
三太は動かなく目だけ動いていて
子バエがたかっている・・・
そんな状況に一彦はどうすることもできずに
三太を抱きながら泣くのでした。
ダンボールの棺おけ~2007年 北海道幼児死体遺棄事件~
そして1ヶ月後――。
団地の管理組合から良枝の携帯に
部屋から異臭がすると近隣から苦情が出ていると
連絡が入ったのです。
すでに子どもたちは死んでいると思った良枝は
死体をどう処理しようかと考えながら
子どもたちと暮していた団地に戻ります。
ドアを開けてみるとすごい異臭。
部屋に行くとフラフラの一彦が
良枝の胸に飛び込んできました。
一彦はまだ生きていたのです。
一彦は三太が動かず口の中に虫が
いっぱい入っていると話します。
三太を見た良枝はこのままでは警察に捕まると
うじ虫を取り死体にビニール袋を何重もかぶせ
ダンボール箱に死体と消臭剤を
たくさん詰めたのでした。
何もわからない一彦は
三太をどうするのかと良枝に聞きますが
三太は死んでしまったから箱に入れると
このことは絶対内緒だと話します。
内緒にしないと母親が警察に捕まると
そう言って納得させる。
良枝は仕方がなく生き延びた一彦を
男性のマンションに連れて帰りました。
そして三太の死体が入ったダンボール箱を
ベランダの物置に隠したのです。
しかし異臭のため男性にすぐに見つかり通報され
事件が発覚したのでした。
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ダンボールの棺おけの感想は?
愛情に飢えて育った良枝。
良枝の母親が言っていたように
施設で育った人がみんな
良枝のようになるとは限りません。
16歳で結婚したとはいえ
それでもうまくいっていた良枝。
良枝の生活が狂い始めたのは
二男の事故死が原因・・・。
それでも母親が協力してくれたり
生活保護を受けて生活できていました。
子どもを理由にフラれましたが
それでも子どもも一緒に暮らそうと
そう言ってくれる男性も現れました。
2度と子どもを理由にフラれたくないという
気持ちもわからなくはないですが
もう1度男性を信じて子どもたちと一緒に
男性の待つ家に行ってほしかったです。
せめてそれが無理でも置き去りにするのではなく
施設に預けてほしかったと思います。
ダンボールの棺おけ~2007年 北海道幼児死体遺棄事件~
そんなひどい母親なのに
弟の死のショックを引きずりながらも
また一緒に暮らせることを
嬉しがっていた一彦。
警察が良枝を逮捕しにきたときも
三太が死んでしまったのは自分のせいと
そう言った一彦の純真さ。
結局、良枝にはそんな純真な子どもの心さえ通じなく
自分の刑の重さばかり心配していた良枝。
これが本当に起きた事件ということで
すごく悲しくなってしまいました。
その他に収録されている物語は
子育てをしている主婦には
共感できると思います。
悲しい事件の表題作も含め
主婦の悩みを描いた本作を
読んでみてはいかがですか?
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