都戸利津先生の作品の嘘解きレトリック。
時は昭和初年――・・・。
生まれながら人の嘘が聞こえ
皆に疎まれてきた娘・浦部鹿及子が辿り着いた先は
九十九夜町にある寂れた探偵事務所。
その探偵事務所の所長兼探偵の祝左右馬は
ちゃらんぽらんで貧乏な上、大変なめんどくさがり屋。
それでも彼の人を見抜き観察する能力は超一流で
鹿及子の能力にも怯まず自然に受け入れ
鹿及子を助手として迎え入れます。
左右馬の探偵力と鹿及子の嘘を見抜く力。
2人がタッグを組んで次々と難問を解決していく
ミステリーラブロマンスです！
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嘘解きレトリックのあらすじは？
主人公の浦部鹿乃子は嘘を見抜く力を持っています。
その力ゆえに生まれ育った村では嫌われ
家族にも危害が及ぶようになってしまいます。
その状況を打開すべく村を飛び出しますが
職は中々見つからず食べるものも住むところもないため
最終的には首輪を巻いた猫と
煮干しを取り合うほどひもじい状態に・・・。
その現場を目撃したのが探偵業をしている左右馬と刑事の馨。
馨に助けられ一緒に食事処に行った鹿乃子ですが
お金がない鹿乃子を同情して
食事処のおかみさんが御馳走してくれます。
左右馬や馨、食事処のおかみさんと大将の
嘘のない親切で優しい言葉や楽しそうな雰囲気を見て
いい人たちだなと思っていた矢先
その食事処の倅であるたろがお使いから帰ってきました。
おつりが足りないというおかみさんに対し
たろは八百屋のおじさんは
これだけしかお釣りをくれなかったと嘘をつきます。
村を出たら嘘を見抜く力があることを
悟られまいと思っていた鹿乃子ですが
人を傷つけるその嘘に
思わず嘘ついちゃダメと言ってしまうのです。
嘘解きレトリック
鹿乃子の言葉に嘘をついたことを認めたタロですが
とても気まずそうです。
その日は探偵をしている左右馬の事務所兼自宅に
泊めてもらうことになりますが
泥棒が入ったような荒れようで物が溢れています。
部屋に向かおうとした鹿乃子ですが
いきなりどうしてたろの嘘が分かったかと問われます。
勘だと嘘をついた鹿乃子ですが
左右馬は君も気づいたのかと思ったと
意味深なことを言ってきて・・・。
次の日の朝、探偵事務所で目覚めた鹿乃子ですが
たろが行方不明になってしまったことを知ります。
自分がたろの嘘を見抜いてしまったから
家出したのかもと責任を感じた鹿乃子ですが
左右馬はどこにいるか見当がついているようです。
また本当に気付いてなかったのと
意味深なことを言われた鹿乃子。
左右馬曰く鹿乃子と魚の取り合いをしていた猫の首輪は
食事処の名前が書いてあったため
たろが面倒見ている猫である可能性が高く
たろはおそらく猫が住み着いている場所の付近にいるとのこと。
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嘘解きレトリックのネタバレとその後の展開は？
急いでその場所に向かった鹿乃子ですが
行く途中で出会った男性にたろを知らないかと聞くと
知っているのに知らないと嘘をついてきます。
何か知っていると確信した鹿乃子は
その男を追いかけようとしますが
いきなり走り出そうとした鹿乃子を
左右馬は引き止めてられます。
焦りから自分には嘘が分かると叫んでしまった鹿乃子・・・。
呆気にとられた左右馬に
こんなこと信じてもらえるはずがないと思った鹿乃子。
ですが鹿乃子の今までの言動から
嘘ではないと信じてもらうことができます。
嘘解きレトリック
実は嘘をついた男性は殺害犯で
遺体を埋めようとしていたところをたろに見られてしまい
小屋に逃げ込んだたろを殺そうとしていたようです。
すんでのところでたろを救うことができた鹿乃子は
自分の力で人を救えたことを嬉しく思う反面
嘘を見抜く力を左右馬に
知られたくなかったと思っていました。
ですが左右馬は探偵業に役に立つと
探偵事務所に雇ってくれたのです。
それからは左右馬の助手として過ごしている鹿乃子は
家にある骨董品をできるだけ高く売るために力を使ったり
おいしいお店を見つけるために使ったりと
いいように使われていますが
嘘をつかない左右馬と過ごすのを楽しいと感じていました。
しかしある日、左右馬が馨に嘘をついているのを見てしまい
なぜ嘘をついたか聞こうと思いましたが
嫌われることを恐れその理由を自分で調べようとします。
実は左右馬は嘘をついたときの
鹿乃子の様子を見ていたようなのです。
そして嘘を見抜かれても気にならないくらい
君を受け入れているといってくれますが・・・。
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嘘解きレトリックの前回までのあらすじは？
探偵事務所の助手として日々仕事に励む鹿及子。
三十番街の幽霊屋敷に絡む強盗や殺人事件
ある婦人の手鏡ひったくり事件。
その中で知り合った若者を通じ
嘘を確信する自分だからこそ
人よりも見えないものがあることに気づきます。
そして過去にそのことで多くの人を傷つけてきて
自身もたくさん悲しい思いをしたことも・・・。
そんな鹿及子に鹿及子が見えない分は
一緒にいる自分が見ればいいとそう励ます左右馬。
嘘を嫌い、人を傷つけることを恐れ
それでも人を愛する鹿及子・・・。
そんな彼女がひとりじゃない
そう安心できる存在になっていきます。
その後も行きつけの食事処
「くら田」の花見弁当発注件数のいざこざや
実は3つ子の少女が当主を務めていた
名家で起こった「人形殺人事件」。
左右馬の親友・端埼馨の失踪事件などなど・・・。
街の馴染みやご近所さんを通して舞い込んでくる
事件を次々と解決していくのです。
それでも商売繁盛とはほど遠く
家賃の支払いや日々の食費に
困る生活は相変わらず。
めんどくさがり屋の左右馬のため
鹿及子は日々宣伝のチラシを張る場所を求めて
町中を訪ね歩きます。
嘘解きレトリック
そんな中、鹿及子は心配のあまり
こっそりと娘の仕事ぶりを覗きにきた
鹿及子の母親と再会を果たします。
2人を引き合わせた左右馬を見て幸せそうに笑う
鹿及子を見て心から安心した母親。
そして鹿及子も左右馬に出会うために
過去があったとするならば
その日々にも光がさす思いなのでした。
それからも2人の元に
事件はどんどん舞い込んできます。
その中で旧家の駆け落ちした娘の
忘れ形見を見つける仕事を受けた際
徳田史郎と偽名を使い嘘の発言を繰り返す
不思議な美青年に出会います。
実はその青年は初めて会ったときから
鹿及子の不思議な力を見抜いていました。
そして彼自身も昔、鹿及子と同じ
能力があったというのです。
その後も鹿及子の能力を見極めるために
左右馬に殺人事件の濡れ衣を着せたり
左右馬の兄にもコンタクトを取り
陰謀に絡めたりしてきます。
それをきっかけに左右馬は
兄・篤嗣とコンタクトを取り
謎の男・史郎の情報を得ようとします。
実は左右馬は名家・佐伯家の当主と妾の間にできた次男。
現当主であり正妻の子である兄・篤嗣には
ひどく嫌われいると思っていましたが
篤嗣の妻・澄子を陥れる陰謀を解決した際
実は兄なりの正義で左右馬に
自由を与えていたのだとわかります。
結局、史郎の新しいことはほとんどわからずじまい。
わかったのは史郎がその他にも
様々な偽名を使って活動していたことで
謎は深まるばかりです・・・。
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嘘解きレトリックの9巻のネタバレ！
ある事件で気づいた左右馬と一緒にいたいという
自分の気持ちに戸惑う鹿及子。
荷物を受け渡す際に触れる手など
些細なことで心がゆらゆらと揺れ動きます。
そんな中、左右馬の親友・端埼馨に
放火疑惑がかかったと新たな事件が舞い込んできます。
馨の姉で記者の雅の予想では
以前左右馬に濡れ衣を着せた事件と
今回の和泉河伯爵家放火事件の
現場の家は関りがあるとのことで
左右馬と鹿及子と共に調査をすすめていきます。
その中でわかった全ての始まりは9年前の事件。
左右馬への濡れ衣を着せた事件の実行犯
集山の叔父が詐欺被害を受け自殺したというものでした。
詐欺の主犯として捕らえられた詐欺師
武上に援助していて処罰されたのが和泉河伯爵。
そして詐欺師が実際に占いをさせていたという
人の心が覗けるという水干姿の少年・・・
それこそが左右馬たちが探しあぐねていた史郎の正体でした。
その間にも史郎は別署の刑事になりすまし
鹿及子たちの行動を把握していました。
その権限を活かし左右馬と鹿及子を
列車に乗る距離に呼び出して
鹿及子だけを拉致することに成功した史郎は
そこで初めて鹿及子に執着する理由を語りだしたのです。
「ある人の言葉を聞いてほしいんです。君のその耳で。」
そのある人とは昔詐欺の片棒を担がされていた詐欺師・武上。
嘘が聞こえることで鹿及子と同じ様に苦労し
あげく人に裏切られ続けた
史郎を拾って育ててくれた武上。
史郎の能力がなくなったことで
詐欺事件が明るみになりますが
逮捕される直前に武上は
密かに史郎を逃がしてくれていたのです。
ところが年を経るごとに生まれてきた猜疑心。
「逃げろよ。」
別れ際の武上の言葉が本心だったかどうか知りたい・・・
その衝動にかられてきた史郎でした。
史郎が手を引いていた2つの事件も
武上の居場所をあぶり出すためのものだったのです。
嘘解きレトリック
史郎は悪事の道具だったとしても
必要としてくれたから武上の側にいたかった・・・
そう鹿及子に言います。
鹿及子自身も左右馬に対する特別な想いと合わせ
能力をなくして左右馬に必要とされなくことを恐れていました。
史郎の姿は自分の今と同じ・・・
でも、それは少し違うとすぐに気づきます。
左右馬は鹿及子を道具としてではなく
初めから鹿及子自身を見ていてくれていたのだから・・・。
一方、左右馬は脳をフル回転させて
史郎の目的地を突き止め先回りしようとします。
左右馬にとって鹿及子が必要なのは嘘を聞く力ではなく
自分を信じて慕ってくれているところ。
鹿及子を返せ・・・！
鹿及子と駅ではぐれてしまう直前、鹿及子から聞かれた
この返事も左右馬はまだしていません・・・。
「どうして先生は、私を一緒にいさせてくれるんですか？」
武上が入院している療養所についた史郎と鹿及子。
ですが病床の武上は史郎の顔を見るなりこうウソをつき
とうとう本心を語ろうとしませんでした。
「お前なんか知らねえ」
初めから僕の本当なんてどこにもなかった・・・
史郎は寂し気に微笑み
鹿及子1人で帰ることを促します。
でも鹿及子はありったけの言葉で史郎を奮い立たせます。
「耳に聞こえるウソと本当だけが真実じゃない」
疑いながら信じあえること
ウソの中にしかない本当があること・・・
それはすべて鹿及子が
左右馬と出会って学んできたこと。
だから史郎を置いて帰りたくない・・・！
すると突然の風にあおられて態勢を崩した史郎は
テラスから転落して落ちそうになってしまいます。
そんなテラスのすぐ下の崖に
片手だけ引っかかっている状態に
とっさに手を伸ばし差し伸べたのは左右馬。
「手を！」
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嘘解きレトリックの感想は？
嘘をテーマにしたミステリー・・・
何とも奥深い作品です。
私たちも子どものときから
嘘はいけない！と育てられるせいか
鹿及子と同様、つい嘘は悪！と
視野が狭くなりがちですよね。
それでも次第に人を愛するゆえの嘘
自分を騙すための嘘・・・
そんな優しい嘘を身に着けてきますよね。
それが大人になることかなというような。
鹿及子の心の成長の節目節目に
自分の心の中で答え合わせするような
ほんわりとした気分にさせられます。
鹿及子の左右馬への想いも花開いてきましたね！
今まで普通に鍋をつつき合ったり隣で一緒に寝たり
もうそんなこともできなくなってくる
位意識しまくりの鹿及子、カワイイです！
嘘解きレトリック
同時に左右馬の方も鹿及子の大切さを
とうとうと独り語るシーンもあり
鹿及子の代わりにうっとりとするやら
気恥ずかしくなるやら・・・。
今後の展開が楽しみです！
でも左右馬はどっかボケた部分もあるお方なので
このまま鹿及子の恋が
上手く行くのかかなり不安ですが・・・。(笑)
昭和初期の古く懐かしいモダンな世界が舞台。
アールデコやら華族やらの単語が好きなお方には
是非読んでもらいたいです。
都戸利津先生の親しみやすくかつ丁寧な画風に
すぐに引き込まれてしまいますよ？
テーマは若者向けの内容ですが
取り巻くサブキャラがそういう方が多いせいか
大人の方も十分感情移入させられる作品です！
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