間瀬元朗先生の作品のイキガミ。
生命の価値を再確認させるための法律
国家繁栄維持法。
国民は小学生になると注射をされ1000人に1人の確率で
特殊カプセルを注入されるのです。
そして注入された者の命を18歳から24歳の間に奪う――。
突然通告される死に対する葛藤や苦悩を
リアルに描いた作品です。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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イキガミのあらすじ!国家繁栄維持法とは?
国民に死への恐怖を植え付け生命の価値を再認識させることを
目的とした法律「国家繁栄維持法」。
通称「国繁」。
この法律は国を豊かにすると殆どの国民に信じられ受け入れられている。
![イキガミ](https://haishin.ebookjapan.jp/contents/thumb/m/SX476160.jpg)
イキガミ
しかしその一方で1000分の1の確率で選ばれた
18歳から24歳までの若者たちが「逝紙(イキガミ)」と呼ばれる
死亡予告証を受け取ってから24時間後に死亡するという
無慈悲な犠牲の下に成り立っており死亡宣告対象者は
死と隣り合わせの生活を強いられるのであった。
この物語は国繁制度に翻弄されるイキガミを受け取った若者と
それを取り巻く人々そしてイキガミを対象者に届け
死を宣告する「逝紙配達人」の葛藤や苦悩をリアルに描き
命の尊さ、生への執着、死への恐怖、人間の醜さを
見事に表現したヒューマンドラマである。
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イキガミのネタバレ
イキガミを受け取った若者にスポットを当て
死までの24時間を丹念に描く。
また逝紙配達人である藤本賢吾が狂言回し的な役割を担っている。
そして物語終盤。
物語の舞台である国に別の国が戦争をしかけてくるのです。
しかし国は軍隊を所有しておらず同盟国頼りの戦況にも
陰りが見えはじめてしまう・・・。
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イキガミ
そこで同盟国の支持の下、政府は国民から志願兵を募るが
うまく支持を得られずそれどころか
暴動にまで発展するという事態をを招く。
ちなみに志願兵の対象者は18歳から24歳までの若者。
そうイキガミの通知受け取り対象年齢と同じ年齢なのである。
暴動発生という事態に困った政府は特典を用意。
その特典とはイキガミ通知後の死亡原因である
ナノカプセルの除去。
この発表により暴動は一気に終息に向かい
若者はこぞって兵に志願したのです。
結局イキガミ制度とは若者を兵に志願させるための
餌でしかなかったのでした。
一方、物語が進むにつれ藤沢賢吾は国繁制度に疑問を持ち始め
ついには反逆者として逮捕されてしまいますが
再教育という名の洗脳を受けるもイキガミ制度の
真の姿を目の当たりにし自分を取り戻すのです。
そして戦争も悪法もない国「日本」へと
ある女性とともに旅立つのでした――。
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イキガミの感想は?
「国家繁栄維持法」。
この法律が現代の日本に存在しうるものであったらと
現実世界とリンクさせながら読み進めました。
そうする事でこの非現実的なイキガミの世界観を
よりリアルに感じることでき私達が住む日本が
どれ程幸福なのかを改めて実感する事が出来た次第です。
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イキガミ
とはいえ日本にも首を傾げたくなるような法律が多々存在します。
法律はドイツのワイマール憲法消滅のように
時の権力者の手によって都合のいいように
書き換えられていくという側面も否定できません。
私はこの物語を読み終えるにあたって自分の幸福な状況を
実感した一方で法律が持つ闇の部分を垣間見たような思いです。
国家繁栄維持法という誰かの命を犠牲いにして幸福を得るという
馬鹿げた法律こそこの国には存在しませんが法律に翻弄され
苦悩や葛藤に苛まれるのは私達も例外ではないのです。
現在の日本は安保法案改正という転換期を迎えています。
まさに法律が書き換えられようとしているのです。
これによってどんな問題が降りかかってくるのかは誰にもわかりません。
結局、私達はそれが有益である事を祈るしかできないのです。
人を苦しめるだけの法律がこの地上から消滅する事を切に願いたいです。
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