安武わたる先生の作品の中国誘拐村～世界の因習～。
負傷していたところを助けられたことから
父親の命の恩人として嫁がされた比奈子。
そこはあまりにも貧しい村で
おじろくとおばさと呼ばれ存在が・・・。
はたしておじろくやおばさとは・・・
そして村の風習とはいったい・・・。
日本に実在した残虐風習がここに――。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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中国誘拐村～世界の因習～のあらすじは？
明治39年4月の中部地方。
東京から鉄道で半日馬車を仕立てて半日
更に半日馬に揺られて辿り着く貧しい山の中。
帝国陸軍大佐の4女である中原比奈子は
この貧しい村に嫁いできました。
旅順の丘陵で負傷した比奈子の父親をかつぎ
銃弾の飛び交う中逃げてくれた一兵卒
父親の命の恩人と結婚しろと言われたのです。
最初は群で出世させようと思ったようですが
自分は元々百姓の身なため故郷へ戻り
跡を継ぎ父母に孝養を尽くしたいと・・・。
そのことで無欲な男に恩を返せねばと
娘婿にと決めたようでした。
年回りも良いとのことから選ばれた比奈子。
女学校を辞めて嫁げと急に言われても
母はとうに亡くし専制君主の如き父に
逆らえるものはおりません。
東京で仮祝言を挙げ今日は嫁家での祝言。
村の子どもたちは日露戦争の英雄だと
比奈子の夫となる杉浦栄吉の祝言に群がります。
そんなとき比奈子が乗っていた馬が暴れ
落ちそうになる比奈子。
すると1人の男が助けてくれましたが
栄吉はその男を殴るのでした。
汚い手で自分の嫁に触れるなと・・・
おじろくが目立つことをせず
ひっこんでろと言うのでした。
彼の名は武郎。
比奈子はおじろくとは何かと思いながらも
武郎にありがとうと言うのでした。
祝言の最中、出席したものたちが
栄吉の噂をしています。
富くじを当てたようなものだと言う者
報奨でもらったサーベルと銃を
自慢気に飾っていると言う者・・・。
夜の営みではご恩に報いるためと
頑張ろうとする比奈子ですが
どうしても嫌悪感が止まりません。
翌日、比奈子の姉は帰ることになりますが
込めや酒などの食料や反物に
栄吉の母親たちは大喜び。
母親に父親に栄吉と身内が少ないと
そう思っているところに
あの武郎が慌てて入ってきました。
どうやら誰かの容体が悪くなったようで
医者か薬をお願いしにきた様子。
使用人かと思われた武郎でしたが
実は栄吉の弟だったのです。
医者は町まで行かないといないし
薬があってもおじろくになぞ
使えないと言う栄吉の父親。
比奈子もついて行くとそこは異臭がし
周りにはわらがあったり
ござを敷いて寝ているのです。
病人をこんなところにと
母屋に連れて行こうとする比奈子。
しかし栄吉はおじろくとおばさは
元々の住まいがこの小屋だと言います。
そしてカツじいとヨメばあは
父親の兄弟だと言うのでした。
身内だと知った比奈子は3人とも
昨日の式には出ていないと聞くと――・・・。
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中国誘拐村～世界の因習～のネタバレとその後の展開は？
式に出ていなかったことを聞くも
3人をめでたい式に出せるかと・・・。
栄吉のその言い方にびくついたヨネばあは
ぶたないでと怯え始めるのです。
そして医者も呼んでもらえず
薬ももらえなかったカツじいは
そのまま亡くなってしまいました。
驚いたことにお坊さんも呼ばず
亡骸を墓地の片隅に掘った穴に
埋めるだけでした。
とても貧しい村・・・。
わずかな畑を兄弟で分けあったら
飢え死にしてしまう・・・
かといって山で暮らすには人手が要るため
長兄以外の子どもはみな跡取りに仕える
使用人になるのでした。
そしておじろくとおばさは一生結婚を許されず
村の祭りにも出られません。
他家ともつき合えず余所へも出られない。
戸籍にもただ厄介と記される
家畜のような存在だったのです。
この明治の御世にまるで奴隷だと
そう栄吉に言おうとする比奈子。
でずが知ったようなことを抜かすなと
夫に逆らえと教えられたのかと
叩かれるのでした。
小屋に行くと武郎が木で
位牌の代わりを作っていました。
比奈子は内緒で線香を持ってきて
3人で供養をしました。
自分の方が年下だから名前でと言い
漢字ではこう書くと言おうとする比奈子。
ですが漢字が読めないと武郎は言い
更には名前で呼んだら
栄吉にぶっ飛ばされると・・・。
更には匂いでばれるから小屋で火を使えないと
お線香の火も消すのでした。
母屋では比奈子のおかげで贅沢三昧。
それでもこっそり母屋と同じ食事を
小屋に運んでいく比奈子。
どうしてこんなにしてくれるのかと
武郎に聞かれるのでした。
そんなとき栄吉が気づき小屋に――。
食事はすべてひっくり返され
武郎は蹴り飛ばされます。
更に比奈子は無理やり連れて行かれ
蹴り飛ばれてた後に
無理やり抱かれるのでした。
この人が他陳の命を救うような
勇士とはとても思いたくない比奈子。
それからの生活は比奈子の実家から援助で
父親は女遊びで栄吉はバクチ狂い・・・
母親も畑もせずに寝てばかり。
野良にでてくるのは
おじろくたちと比奈子だけ。
栄吉たちが畑仕事をしなくなったため
外にいる分には監視の目がなくなり
気が楽になった比奈子。
そんな比奈子に武郎は大豆の収穫の時期だけど
手が回らなくて出来が良くなく
1年分の味噌や豆腐が採れるかどうかと言います。
また実家に援助を頼まないといけないのかと
そう思いながらも一度父親に
意見していただいた方がと思うのですが
あることに気が付いたのです。
最近、手紙も荷物も間遠だと・・・。
そんな中、武郎は野良仕事が
こんなに楽しいのは初めてだと言い
3人での楽しいひととき。
武郎はおじろくでも仕方がないと言いますが
自由になったらどうしたいかと聞かれると
惚れた女子と所帯を持って
死ぬまで暮したいと答えます。
そこ言葉に涙する比奈子・・・。
そんな普通の人の暮らしが夢だなんてと
比奈子は涙したのでした。
そして泣いている比奈子を心配した六郎でしたが
2人はそのまま近づきキスをしようと・・・。
そんなとき大変な出来事が起きたのです。
比奈子の父親である中原大佐が
詐欺の被害にあい財産を吸い取られ
脳いっ血で死んだと――・・・。
父親の死や財産をすっかり騙し取られ
家屋敷も人手に渡ると放心状態の比奈子。
援助がもらえなくなってしまい
畑もロクに作っていないことから
冬も越せるのかと慌てる栄吉たち・・・。
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中国誘拐村～世界の因習～の感想は？
一度甘い汁を吸って取り上げられた栄吉たち。
畑も期待できなく冬も越せるかどうかという
状態に陥ってしまったことで
母親は比奈子のせいだと襲いかかります。
首を絞められ頭を打ったことで
意識が遠のいて行く比奈子・・・。
意識が戻る直前、栄吉の声が聞こえました。
その内容は大佐を助けたときのある真実。
しかも意識のない比奈子を
栄吉が抱いていたのです。
一段落したらお風呂に入れてキレイにし
女郎屋に売ると抱き納めをしていました。
しかも栄吉だけでなく父親も
比奈子を抱こうと――・・・。
この後に起きた出来事はとても悲惨でした。
でもこのことがなければ
比奈子は売られていたでしょう。
報奨でもらったサーベルと銃が
あそこで登場するとは思いませんでした。
もう普通の暮らしに戻れない感じですが
それでもあのまま売られるよりは
良かったのかもしれません・・・。
それにしても大佐を助けたという
いきさつの真実には驚きでした。
もし大佐が勘違いをしていなければ・・・
もし恩をこのような形で返そうとしなければ
比奈子の人生はまた違ったものだったでしょう。
本作には表題作の他に3作品収録されています。
どちらかというと表題作よりも私は
この「おじろく、おばさ」のお話が
切ないですが結末も良かったです。
日本に実在した残虐風習を
題材にしている本作ですが
こんなことが昔本当にあったのかと
疑いたくなってしまいます。
どんな残虐風習が実在していたのか
ぜひご自分の目で確かめてほしいです。
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