まるいぴよこ先生の作品の明日が見えない～イジメの傷～。
ある日突然、制服を汚し怪我をして帰ってきた子ども。
だんだんと笑わなくなり何かあったのかと心配になり
聞いてみるも大丈夫だと言われる始末・・・。
そしてついに部屋から切り刻まれた体育着や
死ねと書かれた上履きや教科書が見つかり――・・・。
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明日が見えない～イジメの傷～の傷のあらすじは？
中2の息子と小5の娘がいる主婦の鈴木良子は
姑と同居し夫は単身赴任中です。
ある日、息子の優が制服を汚し
怪我をして帰ってきました。
当然、どうしたのかと声をかけますが
ふざけてて転んだと言います。
良子は心配になるのですが姑は男の子だから
ケンカぐらいするだろうし放っておけばと言い
更には優は男のくせに気が弱いから
過保護だと甘えた子になると言われるのです。
優はこの頃、様子が変でした。
最近制服を汚して帰ってきたりし
学校のことを聞いてみるも答えてくれない。
単身赴任中の夫に電話で相談をしてみますが
反抗期だから放っておけばいいと言われ
相談にも乗ってくれないのです。
夫は子どものことは良子に任せ
成績ぐらいしか関心のない人・・・。
優は中2の2学期に入った頃から笑わなくなり
ときどき塾もサボるように。
明るくて素直で妹の面倒もみる優しい子で
成績も悪くなかったのに・・・。
2年のクラス替えで小学校から仲の良かった
小林くんと一緒になって
楽しそうに学校に行っていたのに・・・。
明日が見えない～イジメの傷～
その翌日、優は腹痛と吐き気で学校を休みました。
良子は少し熱もあるし病院に行こうと言いますが
だいぶ楽になったし寝ていれば治ると言われ
学校で何かあったのかと再度聞きますが
別に何もないと言うのです。
やっぱり何か変で誰かとケンカでもしたのか・・・
それともまさかと思う良子。
買い物から帰ってくると優と仲の良かった小林くんや
クラスの子がプリントを届けに来てくれていました。
良子は小林くんに学校で何かなかったか
誰かとケンカしているとかないか聞きますが
小林くんは一瞬焦った感じでしたが別にないと・・・。
学校を休めば訪ねてくる友達もいるし
考えすぎなのかと思うのでした。
そして翌日には優は学校へ行きました。
まだ具合が悪そうな感じで何か無理をしているようで
また不安になり優は何か隠していると思う良子は
優の部屋を探してみるのです。
するとベッドの下に隠すように押し込まれた
レジ袋を見つけるのですが中にはなんと
殺すとか死ねと書かれた上履きや切り刻まれた体育着
更には机の引き出しから悪口を書かれたり
破られた教科書などが出てきました。
やっぱり優はがっこうでいじめに遭っている・・・
制服を汚してきたのもそのせい？
どうして優が・・・
学校で優に何が起きているの――・・・？
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明日が見えない～イジメの傷～のネタバレとその後の展開は？
優の部屋からいろいろな物を見つけた良子は
優を問いただしましたが詳しい事情は話そうとしません。
そして体育着や上履きはどうしたのかと聞くと
自分の貯金で買ったと言い
友達もいるしなんとかするから大丈夫だと
余計にやられるだけだから学校には言わないでと言う優。
良子は辛かったら学校を休んでもいいし
いじめはマトモなことじゃない
自分を守るため逃げるのは負けることでも卑怯でもないから
1人で悩まないでと話しました。
当然、夫にも相談をする良子でしたが
不登校にでもなって内心に響くとまずいから
学校に抗議してすぐにやめさせるように
学校のことは学校の責任だと言われます。
夫のいうことも一理あるし放ってはおけないと思い
良子は学校に事情を話ました。
また親や学校が介入することで状況が悪くなることを
優が心配していることも話し
配慮して気を付けると言ってくれました。
そして何度か学校と連絡を取り言われるのは
クラスで孤立しているようでもないし
問題はないと言うのです。
また学校としても意識調査などいじめに取り組んでいて
これからも気を付けて見ていくと
同じような返事ばかりされるのでした。
あれから優は学校を休もうとしませんが
けれどその姿は辛そう・・・。
明日が見えない～イジメの傷～
このまま学校に行かせていいのかと思い
本当のことがわからなくもどかしくて
不安ばかりが広がっていくのです。
そんな2学期の修了式の日。
学校が終わり優が家に帰ってきますが
優の横顔を見た良子は優が目に
涙を浮かべているのに気づきます。
話をしようにもすぐに部屋に入ってしまい
事情を聞くこともできません。
小林くんや学校に聞くも知らないと言われるのですが
良子はまだいじめは続いているのだと思います。
ですが明日からは冬休み。
お正月休みで夫も帰ってくるし
何か状況が変わるきっかけになればと
そう思う良子でした。
しかし夫は成績が下がったことを責めるだけで
いじめのことなどは心配もしていません。
優は冬休み中家にこもり
友達の電話にも出なかったのですが
それでも妹に対する態度は以前の優のもので
穏やかで落ち着いて見えたのです。
終了式の日、優なりに決着をつけたのかもしれない
そう思えるほどに・・・。
そして夫も赴任先に戻り冬休み最後の夜。
本当に大丈夫なのか学校は休んでもいいと伝えますが
優はもう大丈夫だと心配かけてこめんと謝るのです。
そしておやすみと久々の笑顔――・・・。
その笑顔がかえって気になって眠れなくなり
優の部屋を見に行く良子ですが
ベットには優の姿がありません・・・。
窓が開いていたせいなのかカーテンが揺れ
カーテンを開けてみると優が首を吊っていて・・・。
悔しいけどもう耐えられないごめんなさいというメモを残し
自殺を図っていたのでした・・・。
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明日が見えない～イジメの傷～の結末は？
やはり優はいじめに遭っていました。
優をいじめているのは学校を休んだときに
小林くんと一緒に家にやってきた4人。
他の小学校出身で2年で同じクラスに。
初めにやられていたのは小林くんで
塾に行くときにそれを偶然見つけてしまった優。
なんでお金を持ってこないのかと蹴られていて
小林くんの友達だから優が代わってくれてもと
塾で問題集を購入するお金を取られます。
その後もお金を要求されましたが優は従わず
いじめの標的は優に変わったのです。
いじめの中心は山口という
クラスでもリーダー的な存在の子。
給食もわざとこぼされ片づけていると
そこに顔を押し付けられます。
優は次第に体調を崩し学校を休みのですが
彼らは家までやってきました。
プリントを届けにやってきたと笑顔で祖母に言い
部屋では優にズル休みをしているなと手を出し
お金も取られるのです。
そして優が学校に来ないなら誰か代わりを探さないとと言い
小林くんや優の妹を代わりにしてもと・・・。
しかも配慮をすると言っていた学校では
いじめがあるのではないかと
保護者から問い合わせがあったと
みんなに言い出したのでした。
そのことで優がチクったとクラス中を巻き込み
いじめはエスカレート。
優は慢性的な腹痛や吐き気、劇を起こすようになるものの
学校を休むことはできなかった・・・。
そして終了式の日、優はトイレで裸にされ
命令された小林くんは優の制服をトイレに流したのです。
トイレでは優の変態ショーだと騒ぎ出し
みんなも先生もそこを通ったのですが
誰も止めなかったのです。
仲の良かった小林くんでされいいなり・・・。
怖くて逆らえずそんな自分が嫌で
辛くて耐えられなくなったのでした。
明日が見えない～イジメの傷～
いじめは暴力で心も体も深く傷つけ
考える力も自身も生きる気力さえ奪う・・・。
その後の学校の対応はというと
信じ難いものだったのです。
いじめと断定できるようなものはなく
名前の出てる生徒たちも特に問題のない生徒で
自殺の原因は家庭や本人の性格にあるのではと
そう言い出したのです。
小林くんも被害者じゃないかと話を聞かせてほしいと
家を訪ねるものの関わりたくないと言われ
誰もいじめを話そうとしません。
そのうえいじめの中心だった山口の親が
身に覚えのない中傷を受けて
うちの子は傷ついていると言い
更には勝手に自殺しようとしたくせに
うちの子のせいにしないでとやってきたのです。
これ以上言いがかりをつけるなら
名誉棄損で訴えるとも・・・。
小さな町では噂は広がり嫌がらせの電話やFAXも受け
そして兄も母親も嘘つきで学校に来るなと
おまえも死ねと妹の望にまで・・・。
真実が隠され歪められ不信と絶望の中孤立していく・・・
家族をも巻き込んでなおも苦しめる――・・・。
良子は被害届を出そうとしますが
被害届を出したら会社にいられなくなるし
山口の家は親戚に町の偉い人がいて
敵に回したらこの町で暮らしていけなくなると
姑も夫も被害届を出すことに反対。
優のために加害者に罪を認めさせ
謝罪させようとしますがそれは叶わなかったのです。
望が中学生になり入学式の日
良子は優の入学式の日を思い出しました。
明るくて勉強も友達も学校も好きな子だったのに・・・。
優をいじめ追い詰めた子たちは高校へ進学し
希望に満ちて明日へ進んでいく。
優の苦しみや痛みなど思いもしないで
存在すら忘れているのかもしれない・・・。
そして優の笑顔を明日を守れなかった自分が
情けなくてくやしくてやりきれないと涙する良子。
それから10年――・・・。
子どもをいじめから守れなかったことを
悔やみ続けた10年で一生この苦しみを
背負い続けるだと思う良子。
望は今年から小学校の先生になり
教師としていじめ問題に取り組みたいといいます。
良子も良子のできることを見つけ
協力したいと思っています。
何年も多く人々がいじめを告発し続けているのに
いじめはなくならずより深刻化し
いじめが原因の自殺もあとを絶ちません。
悲しいことにこれが現実ですが
暴力からにげることは卑怯なことでも
恥ずかしいことでもない。
だからどうか助けを求めてほしい
理不尽な苦しみに耐えないで
救ってくれる人は必ずいるからと思う良子。
あなたの笑顔を心と明日をいじめに殺されないでと
良子は心から思うのでした。
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明日が見えない～イジメの傷～の感想は？
いじめをテーマにした本作。
たまたま通りかかったことでいじめを見つけ
友達を助けたことでターゲットになった表題作。
きっかけはどうであれいじめは他人事ではありません。
子を持つ親としてはいつ自分の子が
いじめに遭うかもと他人事ではないはずです。
そしてもしかしたら子供だけではなく
自分がいじめに遭うかもしれないのです。
本作には子どものお受験をきっかけに
子どもも自分もいじめに遭ったお受験地獄作品や
新任教師がイマドキの子に理不尽な仕打ちを受け
心が限界になった教師崩壊作品も収録されています。
また産休や育休により職場の嫌がらせが始まった
妊婦いじめなどいろいろな作品が登場。
こんなことって本当にあるのと疑いたくなるような
本当にあったいじめの体験が描かれています。
明日が見えない～イジメの傷～
表題作が一番心にきましたが妊婦いじめも
かなり衝撃的な内容でした。
周囲に妊婦であることを示しやすくするものである
あのマタニティーマークが原因で
嫌がらせや危険な目に遭うなんて・・・。
私はなんとなくつけなかっただけでしたが
危険な目に遭うことを恐れマタニティーマークを
つけない主婦が増えているというのも
かなりびっくりな話でした。
産休や育休も法で定められた制度ですが
結婚できない人や子どもが授かれない人
更にはそういった制度を利用できなかった人には
面白くないものなのかもしれません・・・。
現に私も産休や育休のときはあまり良い顔をされず
出産の前日まで働き育休中も
ときどき会社に来ていたりしました。
他人事ではすまないかもしれない
いじめ問題を描いた本作を
読んでみてはいかがですか？
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