坂辺周一先生の作品の無花果-イ・チ・ジ・ク。
ただ、ほんのちょっと、気分転換のつもりだったのに――・・・。
ごく普通の主婦だった真由は同じマンションに住む
女友達に誘われるまま不倫サイトに登録します。
男の人から言い寄られるのを楽しむだけのつもりだった彼女。
ところがメッセージのやりとりをしていた男に騙されて
監禁され犯されてしまいます。
寂しい心の隙間が招いた過ちはやがて彼女の
平和な日常を侵食し最悪の罪へと導くのでした。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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無花果-イ・チ・ジ・クのあらすじは?
専業主婦の真由は軽い気持ちから不倫サイトに登録しました。
きっかけは同じマンションに住む
まひろと未来の2人から勧められたから。
トラブルを警戒する真由にまひろは
登録しても会わなければ大丈夫だからと言います。
下心が透けてみえる男たちとのやりとりは刺激的だし
からかうのも楽しいのだと・・・。
2人の言った通り登録するなりたくさんのメッセージが届きました。
その中の1つのメッセージに目を止めた真由。
不妊治療に励んでいるという男性からのメッセージで
治療を続けるうちに夫婦間の温度差が大きくなっていき
セックスレスに陥っているとのこと。
実は真由も同じ状況で夫との心のすれ違いに悩んでいたのです。
暇つぶしに登録した不倫サイトでしたが
自分と似た境遇の人たちもたくさんいるのだと知り
真由は何度か男性たちとメッセージのやりとりをします。
彼らから男側の本心を聞くことで
夫の気持ちも理解できた気がした彼女は
その夜久しぶりに夫を誘います。
不妊治療のためのエッチではなく
純粋に楽しむだけのエッチをしてみようと・・・。
急なことに動揺した様子の夫は明日は出張だから
また別の日にと言ってさっさと寝てしまいます。
せっかく勇気を出したのに――・・・。
パソコンのあかりだけが灯るダイニングで
彼女は泣きながらメッセージを送っていました。
断られたことが悲しく、恥ずかしく
ただただ惨めに感じて
どうしようもない寂しさに襲われたのです。
この寂しさがのちに真由に取り返しのつかない
過ちを犯させるのでした――。
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無花果-イ・チ・ジ・クのネタバレとその後の展開は?
やるせない気持ちから男性とのメッセージを重ねる真由は
まひろがサイトで出会った男性と会うことを聞いて
会いたくなる気持ちもちょっとわかるなと思ってしまいます。
夫とはあれからもすれ違ったままで寂しさは募るばかり。
もうダメなのかと不安に思う真由は
いつもメッセージを送り合っている
ヒロという男性と初めて電話をします。
そしてうっかり夫の出張のことを話してしまい
食事をすることに・・・。
今までずっと自分の話を聞いてもらってばかりで
相手の話を聞かないなんて・・・
と言い訳のように自分を納得させつつも
念入りな化粧とおしゃれは
彼女の浮き立った心を現しているようで・・・。
待ち合わせ場所にやってきたヒロと名乗る男性は
思ったよりも誠実そうで不安を拭えなかった真由も
安心してしまいます。
彼はしきりに真由のことを褒め
久しぶりに甘い言葉をかけられた彼女も
まんざらではない気分になるのでした。
そんなやりとりをしているときヒロに仕事の電話が掛かってきます。
なにやら込み入っている様子で
彼はメモとホテルの部屋のカギを差し出します。
メモには至急茶封筒を取ってきてほしいと書いてあり
真由はその通りに部屋に向かうことに。
部屋の中でそれらしき茶封筒を見つけたとき
カチャとドアが開く音が・・・。
振り返るとヒロが立っていてガムテープを引き出しながら
真由に近付いてくるのです。
状況が飲みこめない彼女に薄ら笑いを浮かべながら一言。
「スゲェ可愛いのにバカだなオマエ」
戸惑う真由の腕をガムテープで束縛し
さらには頬に平手打ちをくらわせるヒロ。
やっと好みの女に会えたと興奮して
息を荒くする彼は抵抗しようとする真由を引き倒すと
何度も平手打ちを繰り返すのです。
勝手にしゃべったら一発ずつ殴ると脅し
ヒロは強引に真由を犯しはじめました――・・・。
その後は裸の写真を撮られさらに旦那が出張から戻る日まで
何度も何度も体を弄ばれた真由。
恐怖に支配されていた彼女には
抵抗することはできませんでした。
ようやく解放された真由に追い打ちをかけたのは
ヒロから証拠写真として送られてきた足を広げた自身の姿。
シャワーさえ沁みるほどの痛みに
泣きながら事の重大さを認識するのでした。
旦那にバレるわけにはいかない――
ところが真由のケイタイには執拗にヒロからの
メッセージや写真が送られてきます。
返事をしなければ写真を拡散すると脅され
焦っているところに鳴るチャイム。
出張から旦那が帰って来たかと思ったものの
モニターに映ったのはまひろの姿でした。
ヒロに監禁されている間に何度も家を訪ねて来ていたという
彼女からなにかあったのか問われ
真由は崩れるように監禁されていたことを明かします。
ちょうど帰宅した旦那にはまひろがうまく言い繕い
彼女の部屋ですべてを話した真由。
駆けつけた未来とともに3人で涙を流したのでした。
訴えてやりたい――
でも自分に起きたことを公にするわけにはいかない。
3人はネットに裸の写真をばら撒かれないように
うまくゴマかしながらやりとりを続け
なんとかヒロの素性を掴んで
写真のデータを消去する方法を探ります。
そうはいっても向こうは真由の本名や
住所も知っているのに対し
こちらは一切なんの情報もない状況・・・
圧倒的に不利なのです。
未来とまひろがヒロに気があるフリをして
真由への興味を逸らすことにすると脅迫は明らかに減っていき
このままフェードアウトしていきそうな気配に。
真由は無料通話アプリのIDを捨てて機種変更をし
すべてをやり過ごすように
ジッと息をひそめて毎日を送りました。
このままあの男が忘れてくれますように・・・。
ところが数日後、ヒロは同じマンションに引っ越してきたのです――!
3人は相談をし相手の居場所がわかったのをチャンスと捉えて
ヒロから写真を取り戻す作戦に出ます。
しかし一枚上手だったのはヒロの方で
再び真由は捕らえられてしまうことに。
前回よりも嗜虐的になった彼の行為に
真由は死への恐怖さえ感じながら
朦朧とした意識の中で一晩を過ごします。
すべて投げやりになって言われるままになっていた真由でしたが
思わぬチャンスが巡ってきます。
手に巻かれていたガムテープがヒロの手によって切られたのです。
助けを求めながら逃げ出そうとする真由――
ところが追いつかれそうになって
近くにあったダンベルでとっさの反撃に。
我に返ったときには頭から大量の血を流して
倒れているヒロの姿が――・・・。
動転しているところにやってきたのはまひろで
その場の光景に混乱しながら
なんとか一緒に策を練ろうとしてくれます。
未来もまひろもヒロとやりとりしていたことを知られたくないため
3人は死体をなんとか隠ぺいしようとします。
腐らないように冷やしたり遺体を切って小さくしたり・・・。
現実味をどんどん失っていく作業の中で
どこか他人ごとのように感じながらも
3人の心は疲弊していきました。
特に当事者の真由の衰弱ぶりは旦那も心配するほどで・・・。
そんな中、ヒロの部屋の段ボールから彼の素性が明らかになります。
カギを預かったまひろがその部屋を訪ねると
無機質なほどに整理された室内に
クローゼットには紙袋に詰められた札束が――。
驚きに目を見開くまひろ。
この大金が今度は彼女たちを
どんな風に翻弄していくのでしょうか?
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無花果-イ・チ・ジ・クの感想は?
作者である坂辺先生の作風であるドメスティックさが
存分に表現された作品だと思います。
女性を蹂躙するようなシーンもあるので苦手な方はご注意を。
ちょっとした暇つぶしから始まった不倫サイトでのやりとりですが
監禁・強姦という恐ろしい事態を招いてしまいます。
さらには殺人と死体遺棄へと――。
世の中でニュースになるような事件もこんな風に
きっかけは心の油断と警戒心の欠如から
なるものなのかなと考えてしまいました。
3人の中でもいかにも付け入る隙がありそうな
真由がターゲットとして選ばれたのは
ある意味では必然かもしれませんね。
きっとヒロと会ったのがまひろや未来だったら
茶封筒を取りに部屋へはいかなかったでしょう。
なにかがおかしいと警戒したはずです。
相手を推し量る力というものは
自分を守るためにも欠かせないのかもしれません。
不倫サイトに登録さえしなければきっと真由には
小さな不満もありつつ平凡な日常が続いただろうに。
いずれは子どもを授かって家族の絆を
深めていくこともできたかもしれないのに。
ごく普通の主婦たちがひとつの死体を
処理するために奔走していきます。
1巻の最後でまひろが見つけた札束は
どんな事態への伏線となっているのでしょうか?
なにかまた一波乱起きてしまいそうな予感がしますね。
結末が気になる本作をみなさんも読んでみてください!
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