安武わたる先生の作品の闇っ子~戸籍のない子供たち~。
貧しいながらも家族4人で暮らしていた雪蘭ですが
弟が生まれたことにより雪蘭の運命が変わることに・・・。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
サイト内より【闇っ子】と検索。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
闇っ子~戸籍のない子供たち~のあらすじは?
雪蘭という9歳の少女には3つ上の姉がいて
姉は学校に行っているものの
雪蘭はいって行っていません・・・。
家が貧しいため毎日畑仕事を手伝っていて
姉の香蘭にその日習ったことを
教えてもらうのが一番の楽しみ。
とてもとても貧しかったけど親子4人
どうにか暮らしていました。
2004年、中国西部――。
香蘭と雪蘭に弟が生まれました。
やっとできた跡継ぎだと父親は喜び
お祝いをすると言いますが来てくれた産婆さんは
とても意味深なことを言っていました。
雪蘭は何のことかと思うのですが気に留めず
お祝いの食事を食べていると香蘭より香蘭の食事ももらい
お腹いっぱいにご飯を食べ喜ぶ雪蘭。
そんな日はめったになかったため
弟が生まれて良かったと喜ぶ雪蘭でしたが
香蘭だけは喜んでおらず・・・。
そのとき雪蘭だけは知らなかったのです。
弟が生まれたことが自分の運命を変えるとは
思いもしていなかったのでした。
弟が生まれたお祝いをし寝ていたはずの雪蘭。
目を覚ますとそこはトラックの中で
他にも子どもたちが乗っています。
父親や姉の香蘭の姿もなく家に帰してと騒ぐ雪蘭でしたが
そこにいた男に親に売られたとおとなしくしろと・・・。
トラックに乗っていた小麗という少女にここにいる子は
みんな黒孩子だと言われるのです。
雪蘭は黒孩子とは何か知りませんでしたが
小麗に黒孩子とは何か・・・
そして自分はどうして売られたのかを聞くのでした。
中国では子どもは1人しか持ってはいけなく
ただ農家の場合は1番目が女の子だったら
2人まで産んでもいいのです。
だから雪蘭も次女なので産んでも平気。
ただ3番目に男の子が生まれるのを期待して
小麗の場合は出生登録を出していませんでした。
3番目が男の子だったらいつでも2番目の女の子を
処分できるように――・・・。
闇っ子~戸籍のない子供たち~
おそらく雪蘭もそうだったのでしょう。
そしてそういう登録されていない
戸籍のない子を黒孩子・・・
闇っ子という事実を雪蘭は知ったのです。
トラックにいた男たちはそういう子を
買い集める連中だったのでした。
雪蘭たちが乗ったトラックの旅は何日も続きました。
逃げようにも見張りが厳しくて
逃げるなんて無理・・・。
売られた子どもたちですが男の赤ん坊が一番高く
跡取りをして金持ちの家に売られるそうです。
後は工場や人手を欲しがる大農家・・・
そして店に売られます。
店が何を意味するのか分からない雪蘭でしたが
小麗も雪蘭も店ですぐ使えそうだと連れて行かれるのです。
そんなとき雪蘭を見て利口そうな顔をしていると
義姉のために小間使いとして永明という男が
雪蘭を買っていったのです。
永明は王様でも住んでいるような宮殿に住んでおり
義姉に雪蘭をプレゼントします。
雪蘭はお風呂に入れてもらいきれいな洋服を着せられ
食事をもらいます。
そこでの暮らしは雪蘭にとってまるで天国。
こんなお邸に勤められて自分は幸福だったんだと
追い出されないように頑張ろうとする雪蘭。
そんなときこの家の主人である蔡朱陽に
ぶつかってしまった雪蘭ですが
ジロリと見られるものの部屋へ・・・。
この家の主人のことや親族のことなどの話を聞き
永明にまた会いたいと思う雪蘭。
そんな雪蘭に雪蘭の面倒を見ている玉英は
お酒を旦那様の部屋に運ぶように言ってきて――・・・。
サイト内より【闇っ子】と検索。
闇っ子~戸籍のない子供たち~のネタバレとその後の展開は?
蔡家の主は子ども好きで永明は相手をさせるために
雪蘭を買ったのでした・・・。
そして永明は義姉と関係も持っているようで・・・。
何も知らない雪蘭は体がちぎれる思いをしながら
旦那さまの相手をさせられました。
気が付いたときには玉英が体の手当てをしていて
物は考えようだと言います。
雪蘭がここに来なければ売春宿に売られ
ここなら旦那さま1人を相手すればいいけど売春宿なら
毎日10人も客を取らせられると・・・。
どっかの工場に売られた場合はろくに食べられず
奴隷みたいに働かされるため
雪蘭は運のいい方だと言うのです。
それからは旦那さまの相手という仕事が加わり
昼間は小間使い・・・。
ですがまだ旦那さまに愛情が残っているのか
奥さまは雪蘭に冷たい仕打ちをしてきます。
その様子を見た永明が助けもう奥さまの相手は
しないことになりました。
そして雪蘭は旦那さまに気に入られれば気に入られるほど
ここに居やすくなるんだとどんなことをしても
気に入られるんだと思うようになるのです。
それからの雪蘭は旦那さまに気に入られ
すぐに飽きてしまう旦那さまと3年も続いています。
闇っ子~戸籍のない子供たち~
そのうち養女になんて言い出すのではないかと
永明は義姉である奥さまに言い出します。
当然、奥様は雪蘭のことをよくは思っておらず
ずる賢いそら恐ろしいと・・・。
そんな永明も雪蘭と関係を持っていました。
旦那さまからのお小遣いでは足りないと
株の情報などを雪蘭を使って聞き出している様子。
ですが雪蘭は体もどんどん大人になってきているため
今に飽きられると言いますが
永明は養女になればいいと薦めてきます。
自分からも薦めるという永明に雪蘭は
ずっと永明のそばにいたいと言います。
雪蘭は永明ことが好きでいつかは花嫁になれたらと
そんな風に思っていました。
大切にされながら生活している雪蘭。
そんなある日、旦那さまと一緒に出掛けると
孤児が援助を求めてやってきました。
ですがもっと欲しいと言う孤児が旦那さまに触れ
汚い手で触るなと旦那さまが怒って――・・・。
その様子に孤児救済のボランティアをしている
宋という女性が助けに入りました。
そしてもっと孤児たちに援助を求めます。
お嬢さんに使われているお金のほんの一部でいいと言いますが
旦那さまはそんな無駄なお金は使えないと・・・。
その様子を見ていた雪蘭は自分は絶対にあんな風にならない
あんな惨めな姿にはと思うのでした。
そんな中、ついに永明との関係が奥さまにバレてしまい――・・・。
サイト内より【闇っ子】と検索。
闇っ子~戸籍のない子供たち~の結末は?
永明とベットで寝ていた雪蘭でしたが
家族との夢を見ました。
優しい家族の様子に泣きながら目を覚ました雪蘭でしたが
目覚めた雪蘭は永明に早く養女にしてほしいと
ずっと心細いと泣きつきます。
その様子を奥さまは見ていたのです。
ある日、奥さまが雪蘭の髪の毛が伸ばしっぱなしで気になると
一緒に美容室に行こうと誘ってきます。
不安になりながらも旦那さまの手前
奥さまが自分に手を出すわけがないと
ついて行ってしまうのでした。
美容室では髪の毛を切ってもらい女の子は飾りがいがあっていいと
娘が欲しかったと言いながら笑顔で抱きしめてくれる奥さま。
服ももっとかわいくしてあげたいと
お店の人に奥に連れて行かれる雪蘭。
しかし奥には男たちがいてそのまま連れて行かれてしまい――。
闇っ子~戸籍のない子供たち~
雪蘭はひどい目に遭わされ捨てられてしまいました。
そこにあの孤児救済のボランティアをしている
宋が通りかかり雪蘭を助けました。
そして蔡家に雪蘭のことを話に行きますが
蔡家は雪蘭のことを知らないと言うのです。
おまけに警察まで雪蘭がされたことは
犯罪にならないと・・・。
それは雪蘭が黒孩子だから・・・
戸籍がないと被害者にもならないのです。
雪蘭を傷つけた犯罪者たちはのうのうとしている・・・。
旦那さまにも永明にも捨てられてしまった雪蘭は
またいらない子なんだと泣き出します。
ですが宋はいらない人間なんていないと
自分も闇っ子だったという事実を告げるのです。
そして同じ闇っ子だったからこうして
子どもたちを助ける仕事ができる
人は自分で自分の価値を作り出すことができる
雪蘭は新しい人生を始められると・・・。
その後、雪蘭は宋に言われたように
新しい人生を始めるのでした。
サイト内より【闇っ子】と検索。
闇っ子~戸籍のない子供たち~の感想は?
1979年から始まった中国のひとりっ子政策を題材にした本作。
ひとりっ子政策は人口抑制政策でしたが男女比のアンバランスや
一切の行政サービスを受けられない黒孩子が多発する誘拐など
さまざまな弊害を生んできました。
黒孩子――闇っ子は3~4千万にものぼると言われ
その多くは闇社会に流れざるを得ないでいます。
このひとりっ子政策がなければ雪蘭も貧しいながらも
家族と一緒に暮らしていたことでしょう。
姉の香蘭が学校に通っているのに雪蘭は通っていないのは
貧しいからとかではなく戸籍がなかったため
学校に通えなかったんですね・・・。
そして旦那さまの相手をさせられるとはいえ
やっと自分の居場所を手に入れ普通の暮らしができていたのに
奥さまによってその生活も奪われてしまいました。
見つかった雪蘭を旦那さまたちが知らないと言ったのは
永明との関係が旦那さまにバレてしまったから・・・。
闇っ子~戸籍のない子供たち~
奥さまが永明と雪蘭とのベットでの様子を写真に撮り
それを旦那さまに渡してしまったのです。
旦那さまにお小遣いをもらって生活している永明は
雪蘭を助けるなんてことは絶対にできません。
そんなことをしたら自分が大変なことになるから・・・。
やっと手にした居場所ですが雪蘭にとっては
それを失ってよかったのかもしれません。
本当の自由や新しい人生を始められたのですから・・・。
本作には孤独な少女たちの葛藤がいくつも描かれていて
読んでみてもらいたい作品ばかりです。
サイト内より【闇っ子】と検索。