小出もと貴先生の作品のアイリウム。
1錠飲むと24時間後に「ワープ」できるという
夢のような薬・アイリウム。
過剰なストレスが自分にかかるとわかっているとき
その出来事を回避できるというその薬は
人を本当に幸せにするのか――?
これはアイリウムに翻弄される人間模様を描いた7つの物語。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
サイト内より【アイリウム】と検索。
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アイリウムのあらすじは?
主人公の峰雄は映画監督になるのが夢だった27歳。
しかしそれは夢で終わり同級生も就職して
自分との差はますます開いていき
いつしかそれは猛烈な劣等感へと変わっていきます。
焦燥が、憔悴へ・・・。
さらに長年映画のヒロインを任せていた恋人の由紀も
実家へ帰ると言って峰雄のもとを去る決意を漏らすのでした。
峰雄は知人のもとを訪ね現状を忘れられる
ドラッグが欲しいと言います。
明日は地元の名古屋で同窓会があるので行ってみじめな自分を
さらしたくないという気持ちもありました。
すると知人は「アイリウム」という薬を勧めてきます。
それは1錠飲むと24時間後にきっちりその24時間分の記憶を
失うことができる薬だと言うのです。
嫌なことが起きるとわかっている
未来をすっとばかしてそれが終わった後に
「ワープ」している感覚を体験できるというその薬・・・。
アイリウム
騙されたと思って試してみろと言われ
半信半疑で1錠飲んだ峰雄・・・。
気づくと峰雄は同窓会会場の前に立っていたのです。
知人とDVDを観ていたことは思い出せますが
そのあとの記憶がありません。
自分はきちんと同窓会に参加していたようで同級生からは
身に覚えのないメールが何件か入ってくるのでした。
これはすごい薬だ・・・。
峰雄は知人にビンに詰まったアイリウムを貰い使い始めます。
応募している映画祭の結果を早く知りたいと
また上手くいけば恋人の由紀を引き留められているかもしれないと
3錠飲んで1週間後にワープするのです。
しかしそんな峰雄を待っていたのは映画祭の落選の通知と
由紀がいなくなった後のがらんとした部屋でした。
それからというもの峰雄は逃げるように
アイリウムを服用しはじめます。
自分のふがいない人生を終わらせるかのように
大量に服用していく峰雄・・・。
そして気づくと見知らぬ部屋に峰雄はいて――・・・。
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アイリウムのネタバレとその後の展開は?
映画監督になるという夢が叶わなかった
主人公・峰雄は恋人も失い死に急ぐように
手に入れたドラッグ・アイリウムを服用します。
アイリウムは飲めば飲むほどその間の記憶を
消去してくれるという薬で峰雄は
ある日見知らぬ部屋で目覚めることになります。
峰雄は何錠服用したのか鏡を見ると
老けた自分の顔がそこにありました。
10年以上の月日がたち妻と子供と
名古屋で暮らしている様子の峰雄・・・。
しかしその間の記憶はアイリウムによって
完全に失われていて峰雄は焦ります。
同時にイヤなことから逃げてきた自分の人生は
これで本当に良かったのか・・・
という思いがこみ上げてきて涙する峰雄。
どうせ過ぎていく時間ならきちんと
この身に刻めば良かったと・・・。
その他も様々なアイリウムにまつわる
エピソードが展開されていきます。
ネパールの戦地で兵士として戦う若者たち。
彼らは人を殺す罪悪感や恐怖心などのPTSDに苛まれないように
日々アイリウムを飲んで戦地へ赴きます。
気づかないうちに仲間が戦死していく壮絶な日々が描かれます。
またアイリウムを飲み告白会なるものを開くママ友。
1錠を4等分し2時間程度の効果で
今まで話していなかったことを告白し合います。
日頃のストレスを発散するために開かれるその告白会は
やがて予想だにしない事態に発展していきますが・・・。
アイリウム
などなどちょっと怖いものから感動的なエピソードまで
多様な物語が展開されていきます。
終盤ではアイリウムが普及した世の中に
スポットを当てたエピソードも描かれていきます。
最終7話目ではアイリウム開発に携わった
研究員たちの物語が描かれます。
元研究員の真田は現在訪問介護員として働いていました。
彼が介護することになったのは
かつて自分を研究職から追い出した教授でした。
その教授・仁科はアイリウムを開発した人物として憧れの的であり
真田も研究室に入ることになったときは期待に胸を膨らませていました。
一人前の研究者になって恋人と結婚したい・・・
そんな夢はまもなく打ち砕かれることになります。
なぜか契約が打ち切られクビになってしまう真田・・・
そして彼は恋人への別れをアイリウムを使ってやり過ごすのです。
のちに仁科の研究室にいたメンバーの半数近くが
自殺か行方不明になっていることが判明します。
そして現在夢も恋人も失った真田は
訪問介護の職員として仁科と再会を果たします。
なぜ仁科は自分を含め研究員たちに
ひどい仕打ちをしていたのか・・・
その真相が明らかとなっていきます。
仁科がアイリウムの他に開発しようとしていた
新薬の存在も発覚しそれを知った真田の運命とは――。
紹介しきれないエピソードも多数ありますので
気になった方はぜひ読んでみて下さい!
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アイリウムの感想は?
1巻完結で読みやすいオムニバス漫画「アイリウム」。
本当にこんな薬があったならと考えずにはいられない
興味深い内容の作品でした。
普通のドラッグとは違いアイリウムは飲むと
その間の記憶がなくなり
嫌な記憶も何もかも忘れてしまいます。
それが果たして良いことなのかどうなのか・・・
怖くもありちょっと飲んでみたい気持ちもあり・・・。
アイリウムを飲んだことによって自分の運命が
ガラリと変わってしまう人々の様子がリアルに描かれています。
アイリウム
飲んでしまう気持ちは確かに分からなくもないですが
個人的にはやはり嫌な記憶も覚えておきたいと思います。
忘れてしまうことが一番怖いようなそんな気がしました。
どんな薬にもある程度の副作用はあるものです。
このアイリウムにも飲んだ人に訪れる
「代償」のようなものがあると思うので
決して希望の薬とは言えないんじゃないでしょうか。
読む人によって感じ方はまた違うと思います。
細かい内容はぜひ読んで確かめて頂きたいですし
このアイリウムの独特な世界観を楽しんで貰いたいと思います。
手に取りやすい作品なのでおススメです。
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