小田原愛先生の作品の魔喰のリース。
魔法を喰べることによって生きている
謎の種族である『魔喰』のリース。
王宮捜査官のアンネと共に数々の難事件を解決していき
事態は思わぬ方向に――?!
推理×魔法ファンタジーの新しい物語!
魔喰のリースのあらすじは?
俺を見る人間は全員同じ顔ばかりしやがる・・・
またその顔だ・・・。
小さな頃、リースはいつも気味悪がるような
蔑みの目を向けられていました。
そんなリースに初めて笑顔を向けてくれた
女の子の名はクロエ。
同じように一人ぼっちだった2人が
一人ぼっちではなくなった瞬間でした。
いく年かが経ち氷のような物の中に囚われ
死んでしまった様子のクロエ。
1人残されたリースはクロエを前に
必ず生き返らせると誓ったのです。
場所は変わりグランダム王国の城下町――。
アンネ捜査官と呼ばれる1人の女性が
ある遺体の捜査にあたりました。
その遺体とは顔の皮が剥がされた女性の遺体。
これで今月に入って5体目、それも全てが女性の遺体でした。
事件は『グランダムの顔喰い魔道士』と言われていて
腕に傷のある魔道士の仕業と噂されていました。
もしも魔道士の仕業で魔法が絡んでいるとなると
証拠を探すのが難しく検挙出来た例が少ないため
厄介な事件となります。
そんな話をアンネと記者のカルロがしている頃
王宮ではリースと仲間のモール、レイナが
金目の物を漁っているところでした。
そこへ物音に気付いた王宮魔道士がやってきて
王宮魔道士のタトゥーなどないリースたちは
慌てて逃げ出しました。
王宮魔道士から逃走していたリースは
通りかかったアンネの横を通り過ぎた
別の王宮魔道士とぶつかり
その拍子に王宮魔道士は禁忌とされている
『蘇生魔法の本』を落としました。
それに気付いたリースが手を伸ばそうとすると
王宮魔道士は素早く本を手に取り走り出します。
リースが追いかけると王宮魔道士は炎の魔法を使い
絶対絶命かと思いきやリースは放たれた
炎の魔法にかぶりつくとその魔法を食べてしまったのです。
王宮の他の人達に遭遇し仕方なく
リースたちの元へと戻った王宮魔道士。
跡形もなく消えた魔法と無傷なリースたちを見て驚きます。
魔法を喰らうのを見ていたアンネはリースに何者かと問い
自分は魔法を喰らって生きる『魔喰』だと答えたのです。
連続で起きていた王宮内の窃盗の罪までも
なすりつけられそうなリースたちに
アンネは真犯人を探す有力な情報さえあれば
減刑すると提案しますが
リースは魔法の味で真犯人がわかると・・・。
そして先ほどの魔法を使う魔力が
この場に今も漂っているとも・・・。
リースはその場にいた全員の魔力を腕をかざして調べると
1人の魔道士の魔力を喰べました。
その魔道士とはアストーチと呼ばれる男。
私じゃないと尚もシラを切るアストーチにリースは
蘇生魔法の本を持っているはずだと追い討ちをかけます。
アンネがアストーチを調べようと近づくと
アストーチは踵を返して逃げ出しました。
オロオロして役に立たない魔道士達を横目に
リースはさっき食べた魔法を口から放出し
命中したアストーチはその場に倒れて
見事捕まえることが出来ました。
事件が解決しリースは約束は果たしたからと
アンネに減刑を求めますがアンネは顔喰い魔道士の
正体を突き止めるまでは解放できないと言います。
その頃、西地区のエンゼローブを歩いていたレイナは
後ろから何者かに囚われてしまい
その何者かはレイナを小屋に引きずっていき・・・。
王宮に残ることを命じられたリースは魔喰という
存在がわからない王宮の者によって
未確認生物として念のため牢に入れられていました。
アンネは記者のカルロに遺体に残る魔力から
リースなら顔喰い魔道士を探せるのではないかと提案され
城の地下の遺体安置所にリースを連れていきます。
顔喰い魔道士にやられた遺体を前に
リースに魔力が残っていないかと問いかけるアンネ・・・
そこへ新たな犠牲者が出たと報告が来ました。
アンネと共に新たな犠牲者の現場へと向かった
リースがそこで見たのは顔の皮膚を剥がされて
殺されているレイナの姿でした。
レイナが殺されたことによってリースは
必ず犯人を捕まえると遺体に残る魔力を調べるのです。
残っていたのは氷の魔力でその魔力をリースは
10年前の『龍の大討伐』で喰べたことがありました。
それは当時、王宮魔道士最高位だったペリアの魔力。
彼女はその美貌で王宮のお偉いさんに認められて
昇級したと噂されていました。
ペリアのことはアンネもあまり詳しく知りません。
そのためアストーチにペリアのことを
聞いてみることになりましたが
アストーチの話によるとペリアは龍の大討伐で
龍の吐いた炎で顔に大火傷を追い美貌を失い
周りの人間も離れていき引退してしまったそうです。
そして最後に残したのは顔が欲しいという言葉で・・・。
ペリアが犯人で間違いないと確信したアンネ達は
アストーチにペリアの居場所を訪ねますが
ペリアは1カ月前に死んだのだと・・・。
ペリアが死んでいるとわかりリースとアンネは
さらに捜査を続けると思いもよらぬ人物が
犯人であるということがわかったのです。
顔喰い魔道士の正体を突き止めたリースとアンネは
皆既団という存在を知ります。
皆既団は蘇生魔法を研究している魔法結社。
アストーチは以前持っていた蘇生魔法の本は
皆既団に売るためだったのだと言いました。
皆既団の存在を知ったリースは蘇生魔法を詳しく知りたがり
そんなリースにアンネはなぜそんなに
蘇生魔法にこだわるのかと問うとリースはこう答えるのです。
「たった1人、どうしても生き返らせたい人がいるんだ」
アンネはそんなリースを前に剣を抜き振り抜くと
切られた首がその場に落ちました。
果たしてリースはいったい・・・?!
魔喰のリースのネタバレとその後の展開は?
アンネが切ったように見えたのは
実は鳥が持って飛んできた
王宮大学構内で殺害された大学講師の首。
顔喰い魔道士の事件を解決したことにより
解放されるはずだったリースは
ついでにとこの事件にも付き合わされます。
大学講師の遺体は首がヤギ、身体が人間の
悪魔のような姿にされ床には大きな魔法陣が描かれていて
それを見たリースは黒魔術だと気付きます。
遺体の周りの魔法陣から水の魔力だとわかったリース。
何かに気付いた様子でちょっと聞きたいことがあると
学生たちを呼び止めました。
火と水の魔法を研究しているウェッジ
冥術の研究をしているマギー
回復魔法を研究しているアルゴ。
3人が有力な犯人候補として上がり
お互いに罪をなすりつけ合い始めました。
水の魔法を使用した形跡からリースは始めウェッジを疑いますが
証言から事件の前に同じ部屋で
水の魔法の研究をしていたことがわかります。
捜査は進まずリースはもう一度遺体をよく確認すると
あることに気づきました。
それは首と身体が完全に接合されているということ――。
つまり首と身体のつなぎ目を
回復魔法を使って接合してあったのです。
そのことから回復魔法を研究していた
アルゴが犯人だとリースは断言。
首の接合部の魔力とアルゴの魔力が一致していると言うのですが
リースはいつものように見た目が変化していません。
回復魔法は喰べると肌がツヤツヤになるだけで
見た目に変化はないようです。
見た目に変化は現れていなくてと
魔喰の力を知っている生徒たちは
アルゴに真偽を詰め寄ります。
するとアルゴは両親が小さい頃に死んでしまった過去と
それによって研究していた蘇生魔法を
教授に認められなかったことを話し出し
それによって自分が教授を殺したのだということも・・・。
アルゴは遺体の周りの魔法陣に一文字書き足して
『心理』という意味に直すと
遺体は動き出しバケモノと化しました。
みんなが逃げ惑う中、リースは3種類の魔法を使える
トライマスターであるジャン捜査官の魔力を喰い
その力をバケモノにぶつけるとバケモノは動かなくなり
事件は解決しハッピーエンドとなるはずが・・・。
アンネは生徒1人でここまでのことができるのかと
疑問を持っていました。
事件解決後、いつものように牢に入れられるリースは
アルゴの近くにしてくれないかとアンネにお願いし
入ってみるとその牢はアルゴの牢の真下の階の牢・・・。
蘇生魔法について聞き出すつもりだったため
リースはガッカリ・・・。
王宮の独房で指をかじる不気味な魔道士スカイア
彼は皆既団の幹部の1人でした。
魔法を通さない特殊な加工の施されている牢では
何もできないだろうと思っていた看守達でしたが
スカイアは指から滴り落ちる血を使い
どうやったのか独房を抜け出してアルゴの牢の前へと現れました。
スカイアは一般人の前で冥術を使用したアルゴを許さず
不思議な術を使いアルゴの腕を操り
アルゴ自身の手でアルゴを殺害しました。
魔喰であるリースに興味を持つスカイアは
そのまま静かに牢を立ち去りました。
アンネがアルゴが殺されたとリースを起こし
リースとアンネが現場に到着するとそこには捜査官のジャンと
アンネの上司に当たるローレルがいました。
ローレルはアンネがリースを連れて捜査していることと
リースの身の上を馬鹿にしそれに怒ったリースは
事件の犯人を突き止めてやるとローレルに言い放ちます。
殺された皆既団の幹部達の遺体を前に
リースは魔喰の能力を発揮すると遺体は幹部の替え玉で
幹部の証であるエクリプスも偽物だと・・・。
ですが1人の遺体だけに妙な魔力を感じたリースは
その遺体を確認するとその遺体とは魔道士スカイアのもの
アンネが顔を確認するとそれは看守だったのです。
魔道士の服を着せられたその遺体の体に違和感を感じ
服を剥ぎ取るとそこには『魔を喰らう者へ』と
リースへの挑戦状が描かれていたのでした。
スカイアからの挑戦状の内容とは・・・?!
魔喰のリースの感想は?
魔力を喰うことで生きている魔喰のリースと
捜査官・アンネが解決していく数々の事件!
ファンタジーの世界での推理サスペンスといった作品です。
始まり方や主人公の設定から徐々に王道のファンタジー物へと
変わっていくのではないかと思っていたこの本作。
なんだか推理サスペンスとして
進んでいく要素が多くなってきました。
主人公のリースは魔力を喰うことによって
誰の魔力なのかわかるという異色な能力の持ち主で
そこがまた物語を面白くしています。
普通のサスペンスに飽きてしまったという方でも
ファンタジー要素が入っていることでまた違った気持ちで
楽しめるのではないかなと思います。
またファンタジーが苦手な方でも
読んでみようと思えるような内容になっていますので
ぜひ一度読んでみて下さい。
今までに有りそうでなかった世界観に
引き込まれること間違いなしですよ!