灰原薬先生の作品の応天の門。
――平安時代。
それは魑魅魍魎が跋扈し光と闇が混在していた時代。
その都、平安京で起こる様々な事件
それを起こすのは鬼か妖しか?
若き菅原道真と当代きっての文化人・在原業平が事件に挑む!
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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応天の門のあらすじは?
時は平安時代、京の都では鬼が夜な夜な
女を攫うという噂が出回っていました。
そんな中、ある人妻の元に通う一人の男・在原業平がいました。
人妻の家から人目を避けて帰宅途中、四条門の上で
月明かりを頼りに書物を読んでいる一人の男に出会います。
その男は業平に検非違使とすれ違いたくなければ
油小路を通れと伝え門の中へ消えていきました。
宮中では藤原親嗣の屋敷の下女が消えた話で持ちきりです。
下女とはいえ今や貴族たちの頂点にいる
藤原家の屋敷の者であれば一大事なのです。
主である親嗣も物忌みで臥せっており
また帝も今回の事件に怯えているとのこと。
そしてその警備の件で業平は宮中に呼び出されたのでした。
応天の門
時同じくして大内裏、八省院内、大学寮へ書物を借りに来た男性が一人。
同期の紀長谷雄に菅三と呼ばれるその人こそ菅原道真でありました。
長谷雄は道真に頼みがあると言いましたが
道真は詳しくも聞かずにそれを一蹴します。
その時、大学寮へ踏み込んできた検非違使たち。
彼らは長谷雄を巷で騒がせている女官拐かしの嫌疑で連れて行こうとし
そこへやってきたのが業平です。
彼はその場にいた道真の声を聞いて
昨晩、四条門にいた男だと気づきます。
こうして、菅原道真と在原業平は邂逅を果たしたのです。
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応天の門のネタバレとその後の展開は?
業平は自分が昨晩、六条へ行っていたことを従者の狩袴についていた
青い蔓草の汁だけで当てた道真の博識ぶりと洞察力に感心します。
そして彼を鬼が連れ去ったと噂された
下女らしき死体見分に立ち会わせることにしました。
胃の中の物を戻しながらもしっかり遺体を観察していた道真。
さらに足の裏に傷がないのなら屋内で死にここまで運ばれてきたこと
遺体の髪の毛についた麻の匂いは少し前まで
護摩を焚いているところにあったことを指摘しました。
親嗣の屋敷では物忌みと鬼避けのために護摩を焚いています。
つまりこの女の遺体は親嗣の屋敷から運ばれてきた可能性が高いのです。
道真は親嗣の屋敷を検非違使に調べさせればよいと言いましたが
業平はそれはできないと返答します。
理由は親嗣が藤原北家の者であること。
朝廷の権力を握る藤原家に逆らうことは帝に叛することと同義語で
それを聞いた道真は嫌悪感を露わにします。
何はともあれ二人は長谷雄の嫌疑を
完全とはいえないまでも晴らし釈放させます。
しかし長谷雄は下女の行方を知っていたのです!
しかもその下女が入っていった店で盤双六をし
米二百石の借金まで作っておりました・・・。
下女に話を聞くために件の店までやってきた三人は女主人・昭姫に会い
タダでは喋らないとする昭姫に対し道真は双六勝負を持ちかけます。
自分が勝てば長谷雄の借金はなかったことに
自分が負けたら倍払うという条件で――。
応天の門
勝負中、漢語で話す道真と昭姫。
何のために来たと問いかける昭姫に対して彼はこう答えました。
「嫌いなんです。理に叶わぬことが」
勝負は道真の勝利でその後、下女・小藤に真相を聞く事になったのです。
彼女の主・親嗣は何かと理由をつけては
鞭打ちや折檻をして楽しむような人間でした。
そのために屋敷の人間は皆、怯えて暮らしていた感じで
小藤を常にかばってくれていたのが松葉という女官。
松葉にかばわれ屋敷を逃げ出した彼女は
昭姫たちに現在まで匿われていたのです。
道真は真相を聞き「鬼退治」の準備を昭姫たちに手伝わせながら行います。
次に親嗣の屋敷の下女に火で炙らねば読めない文を渡し
屋敷内の事前準備をさせました。
決行は新月の晩。
親嗣たちに薬を混ぜた酒を呑ませ眠らせ
その間に女官たちは屋敷を抜け出しました。
親嗣が目を覚ますと部屋中が血まみれで
明かりは次々と消え目の前には鬼が・・・。
慌てて外に逃げ出すと検非違使を連れた業平の姿がありました。
屋敷内で鬼退治をしようとする業平に対して
屋敷内を見られてはまずいと断る親嗣。
そして屋敷内に戻った彼が見たものは――
血まみれの松葉の着物・・・。
そのとき親嗣の従兄である左大臣・藤原良房がやってきます。
良房は親嗣のしでかした所業を見て
庇いきれないと判断し彼を切ることを宣言し
こうして道真の鬼退治は無事に終了しました。
菅原道真と在原業平、この二人がこれから京で起こる
様々な事件にかかわっていくことになるのです。
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応天の門の感想は?
探偵小説などではお馴染みのバディ物です。
『菅原道真=お爺ちゃん』なイメージが多いのですが
この作品では18歳の若さ!
そしてそのせいか若干性格が悪い(青臭いともいう)
理不尽なことを理不尽だとはっきり言えるのも若さの特権でしょう。
年齢が上がると保身に走りがちですからね・・・。
応天の門
登場人物はオリジナルキャラクターもいますが史実に則っていて
歴史好きにも堪らない作品に仕上がっています。
単行本には『道真の平安時代講』もあり当時についての勉強にもなりますよ。
年の離れた悪友(?!)道真と業平も見ていて楽しく
一度は読んでおいて損はない作品です!
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