菅野文先生の作品の薔薇王の葬列。
中性のイングランド。
白薔薇のヨークと赤薔薇のランカスターの両家が
王位争奪を繰り返す薔薇戦争時代。
両性具有という大きな秘密を抱えるヨーク家の三男・リチャード
己の運命に翻弄されながら過酷な人生を生きる彼の運命は・・・。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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薔薇王の葬列のあらすじは?
ある日のこと。
イングランドにある白薔薇のヨーク家の三男である
幼いリチャードが城から姿を消しました。
心配そうに弟を探し回る兄のエドワード。
母親は何か物知り顔ですが一言
「あの子が自分で手を離したのよ」と吐き捨てます。
雷と獣の声、木々が揺れる音ばかりが聴こえるとある森の奥
幼い子どもは母を探し頼りなげな足取りで彷徨っていました。
子どもの耳に聞こえてくるのは自分を呼ぶ何かの声、呪いの言葉・・・
しかしその体を一人の男が優しく抱き上げます。
それは彼・・・リチャードの父親であるヨーク公リチャードでした。
産まれながらに背負ったとある秘密により母親に愛されずに育った
リチャードにとって父親は自分を心から愛してくれる唯一の存在。
薔薇王の葬列
そんな彼がイングランドの王の座に付くことを宣言したことにより
リチャードのヨーク家の運命は動き始めます。
王となるために王宮へ向かう父。
長男であるエドワードもそれについていきますが
まだ幼いリチャードは次男のジョージと共にネヴィル家に預けられます。
戦いに出られる兄のことを羨ましく思い
自分の身体を忌むリチャード・・・。
「男でも女でもない、そんな体では無理だ」
そんな彼をあざ笑うかのようにフランスの魔女
ジャンヌダルクの亡霊が彼の耳元で囁くのです。
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薔薇王の葬列のネタバレとその後の展開は?
リチャードはジャンヌダルクの亡霊の言葉通り
男でも女でもない存在・・・
両性具有の身としてこの世に生まれ落ちていたのです。
そのため母親からは悪魔の子だと忌み嫌われ
男でも女でもない自分の身体に苦悩する毎日を送っています。
しかし自分は敬愛する父親の「息子」だと
強く自身に言い聞かせながら日々剣や弓の稽古に励んでいます。
父親を玉座に至らしめるために
彼に王となるための戦いを進言するリチャード。
その言葉を聞いた父はリチャードを抱きしめながら
自分が王となることそのために命を懸けることを約束します。
しかしその戦いにまだ幼過ぎるという理由で
リチャードは連れて行ってはもらえませんでした。
悔しさをにじませるリチャード。
次男のジョージは自分たちはまだ子供だから仕方ないのだと
彼を諭しますがリチャードは鏡に映った自身の身体に絶望します。
細すぎる体躯に見合わず一部だけ不自然に膨らんだ胸・・・
その姿を見て彼はただ自嘲気味に笑うことしかできません。
そして事態は恐れていた方向へ傾いていきます。
薔薇王の葬列
父親が戴冠に失敗したことにより
城に攻めてくるランカスター家の者達。
リチャードも母と兄のジョージと共に
囚われ牢獄に入れられてしまいます。
しかしリチャードはその細く小さな身体により
狭い通路から外へ出ることに成功。
そこで一人の風変わりな青年と出会い
互いの立場を知らないまま小さな交友を築きます。
言動から羊飼いだと思われていたその青年は実は宿敵である
ランカスター家の王であるヘンリー六世その人で・・・。
互いの素性を知らないまま魅かれあうリチャードとヘンリー六世。
彼らを待ち受けている運命は「息子」として生きることを望んだ
リチャードが自身の中の「女」を自覚した時に待っている物とは・・・。
己を襲う悲劇に時にその手を悪に染めながらも
激動の時代を生き抜いていく
リチャードに待っているのは希望か、絶望か――。
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薔薇王の葬列の感想は?
シェイクスピアの史劇「ヘンリー六世」と
「リチャード三世」を原案に描かれている本作。
人気作少女漫画「オトメン(乙男)」の作者・菅野文先生の新作ということ
歴史ものは日本史世界史問わず好きなので読んでみましたが
思ったよりもがっつり「ヘンリー六世」と「リチャード三世」の世界観が
前面に押し出されている作品で驚きました。
中世のヨーロッパの華麗でしかし激動の時代が
かなりしっかりと描かれています。
ですがやはり少々駆け足気味のところもあるのでこの辺りの時代背景を
いまいち知らない人だと特に序盤は「?」となってしまうかもしれません。
また最初の方は似たような雰囲気の登場人物たくさんでてくるので
キャラの区別がつきにくいかもしれませんね・・・。
しかしそれを補って余りある美しい絵柄と絡み合う
複雑な人間模様にどんどん読み進めていってしまいます。
薔薇王の葬列
ただ時代背景がわかっていた方がより楽しめるかと思いますので
ネットなどでわからないところは調べながら読むといいかと思います。(笑)
とにかく愛と裏切りが次々と起こるので
まさに行き着く暇もないという感じの作品です。
少女漫画に分類されるらしいですが主人公?ヒロイン?の
リチャードが両性具有というところもまた新しくて面白いです。
この時代は短いスパンの中で本当に色々なことが起こる時代なので
物語の中でも多くの事件が巻き起こります。
しかし歴史を破綻させることなくうまくそれを
少女漫画として昇華して描いている非常に面白い作品です。
菅野文の新たな一面が見れる本作を是非一度お手に取ってみてください。
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