原作・乙一先生&漫画・ミヨカワ将先生が描く山羊座の友人。
松田ユウヤの部屋のベランダに舞い込んだ未来からの新聞――
そこには10月2日に起こるというある事件について書かれていました。
そして、いじめの被害者であった少年が加害者へと変貌した日
ただ傍観していただけの彼の人生は変化します。
ユウヤは山羊座の友人のためになにができるのでしょうか?
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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山羊座の友人のあらすじは?
いじめ――それは学校という小さな社会である意味
公認のもとに行われる行為。
だれもが知っているのにみんな被害者になりたくなくて
見て見ぬふりをしてやり過ごします。
主人公の松田ユウヤもその1人でした。
目に映らなければ存在しない世界だからこそ“なにか”を目撃しても
どうすることもなくただただなかったことにするのです。
それが唯一、自分の平和な世界を守る術だから・・・。
お昼休みには校則違反の買い食いに走り席が後ろの優等生女子に
それを注意されつつ他愛のない話で盛り上がるという日常。
優等生女子である本庄ノゾミとは自宅のベランダに舞い込んできた
あるもので助けを借りてからちょこちょこ話をする間柄でした。
ユウヤの家は高台にありそのせいなのか
風の通り道になっているようなのです。
ちょうどユウヤの部屋のベランダに風が吹き込んでくるので
毎朝大量の落ち葉に混ざって洗濯物や古雑誌・・・
昭和75年度のアルバムや子犬など
あるはずのないものまで落ちてくるのでした。
子犬がベランダにやってきたときにはさすがのユウヤも困り果てて
里親募集のポスターを制作したのですが
その際にアドバイスをくれたのが本庄ノゾミだったのです。
山羊座の友人
それ以来、おもしろがってベランダの話を聞きたがるのですが
この日のユウヤは今朝の落とし物の話はしないままでした。
今年の10月2日に発行されたらしい新聞の切れ端。
おかしいのはまだ9月だというのに10月の日付だということ。
そう、それは未来に起こる予定の
事件について書かれたものだったのです。
ユウヤがその話をノゾミにしなかったのは
単に気にも留めていなかったから。
真偽のほどもわからないしもし本当だとしても
自分には関係のなさそうな話だったのです。
こうしていつものように日常を過ごしたユウヤは
1日の終わりの締めくくりに
深夜のコンビニから帰宅しようとしていたのですが――・・・。
やけに鳴り響くサイレンの音に気を取られていた彼は
「松田くん」と建物の暗がりから声を掛けられます。
「・・・誰?」
問いかけに応えるように姿を現したのは同じ学校の若槻ナオトでした。
ちょうど通りかかった車のヘッドライトにすべてを洗われた彼は
手に血だらけのバッドを持っていたのです。
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山羊座の友人のネタバレとその後の展開は?
若槻ナオトこそがいじめの被害者であり
ユウヤが見て見ぬふりをしていた存在そのものでした。
異様な光景に一瞬声を失うユウヤでしたが
いつものように何事もないかのように会話を続けます。
頭の中では記事の内容が鮮明に思い出されてくるのでした。
「・・・聞いていいのかどうかわかんないけど」
会話の切れ間をぬってユウヤは視線をバッドへと滑らせます。
「これ? 金城くんの血」
学校ではいつも不良の金城に殴られたり蹴られたりしていた彼は
表情を動かすこともなく当然のように言うのでした。
ユウヤはいじめの被害者が生き残るために
加害者へと転じたのだと悟ります。
自首するつもりはないらしい若槻はユウヤに
迷惑を掛けるといけないからとその場を後にしようとします。
その背中に「がんばってな」と
間の抜けた声を掛けて別れたのですが――・・・。
今まですべてに無関心を貫いてきた彼は
はじめて自分から関りを持とうと決めたのです。
「まてよ」
翌日の学校は金城が殺されたことと
ナオトが失踪したことで持ち切りでしたが
ユウヤはまるで他人事のようにそれを観察します。
実は彼の部屋にナオトを匿っていることなどおくびにも出さずに。
あの10月2日の新聞には事件の結末までが記されていました。
山羊座の友人
事情聴取をされている最中の容疑者が
トイレで首つり自殺をしたというもの。
ナオトの自殺を止めるために10月2日まで
出頭させないようにしようとしていたのです。
出口のない逃避行の中で2人はお互いについて
知らないことなどをなんとなく話します。
時折、金城のことや事件についての詳細に触れながらも・・・。
その中でユウヤは少しずつなにかが違うという
感覚を覚えていきます。
「アザゼルの山羊って知ってる?」
アザゼルという悪魔の災いを避けるためある地方の
民衆全員の罪を背負わされて荒野に放たれるという1匹の山羊。
それをアザゼルの山羊と呼ぶのです。
山羊座だから山羊のことには詳しいというナオトの口から
ゆっくりと真実が語られることに・・・。
それはユウヤが予想していたことを上回る結末なのでした。
ユウヤは果たしてナオトの自殺を止められるのでしょうか?
未来ではなくなる10月2日が訪れる日
なにが起こったのでしょうか――・・・?
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山羊座の友人の感想は?
高校生のときから乙一先生の小説が大好きでした。
彼のデビューも高校生のときだと知って
衝撃を覚えたのを今でも鮮明に思い出せます。
今作はその乙一先生原作のコミカライズ版。
ミヨカワ将先生のきれいな絵が乙一先生の
小説の雰囲気にぴったりで違和感なく物語に入り込めました。
山羊座の友人
さりげなくちりばめられた伏線に読み手はなんとなく
結末を予想するのですがその予想を上回る
伏線回収に「さすがだな・・・」の一言です。
そんなところも伏線になっていたのかと――。
切なさの達人とも称された乙一先生らしく本作の
山羊座の友人も胸をツンと突かれるような読後感があります。
涙が流れるような・・・というものではなく
じんわりと広がっていく切なさ。
あなたも体験してみませんか?
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