佐伯かよの先生の作品の緋の稜線。
時代が大きく変わる大正から昭和にかけて
女性が生き抜いていく壮大な物語。
瞳子は女として生まれたことを悔やしがりますが
各務の言葉に感銘を受け勉学に勤しみます。
しかし車で事故を起こしたことがきっかけで
進学ではなく結婚させられてしまうことに・・・。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
サイト内より【緋の稜線】と検索。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
緋の稜線のあらすじは?
大正15年、胡桃澤家に3番目の女の子が生まれ
名前を瞳子と名付けます。
これからの世の中、どう動いていくのか
その瞳で見て判断して生きて行って欲しいという
願いをこめて命名されました。
数年後、瞳子は同年代の男子から
喧嘩を売られている新之助を助けます。
大勢でひとりの新之助に喧嘩を挑む男子たちを卑怯といい
代わりに相手になると啖呵を切ります。
緋の稜線
男たちはそんな瞳子に容赦なく殴りかかろうとしますが
寸前のところで龍一が引き下がったところで
この一件は収束しますが瞳子は自分が女であることで
バカにされていると女に生まれたことを悔しがります。
その様子をひとりの青年が目撃していますが
そのことに気づいていないふたりは
捜しにきた母に喧嘩ではなく
転んでケガをしたのだと嘘をつきます。
帰り際、瞳子は物陰から一部始終を見ていた
青年に声をかけられます。
これからの世の中、男女ともに対等に戦える時代がくる
だからしっかりと学び頭で戦うのだと助言をします。
その青年の名は各務、瞳子との運命を感じるのでした。
サイト内より【緋の稜線】と検索。
緋の稜線のネタバレとその後の展開は?
昭和16年、太平洋戦争に突入し瞳子は15歳となり
進路の分岐に立たされています。
教師を目指して師範学校に進むかそれとも結婚をするか・・・。
しかし瞳子には教師への道も結婚も
まったく考えていないことでした。
いつかはいい人と結婚をしたいとは思っても
恋愛結婚は憧れの存在です。
周りの女学生は憧れは憧れのまま現実は親の決めた
許嫁者と家庭を持つことを受け入れていますが
瞳子は自分で選んだ人との結婚を望んでいました。
帰宅すると嫁いだ一番上の姉が
出産のために戻ってきていました。
無事出産し終えると父が車で帰宅し
龍一が車で送ってくれたのです。
もうすぐ女学校を卒業する瞳子に嫁に来ないかと口説き
新之助も龍一の口車に乗せられ
誰にも瞳子を渡したくないと告白・・・。
一旦この話はここで終わりにし
車の運転を教えてもらうことになります。
なかなか筋のいい瞳子ですが犬を避けようとして
お堀に落ちてしまい泳げない瞳子を助けたのは各務。
息をしていない瞳子に人工呼吸をして
蘇生させたのも各務でしたが
瞳子はその事実を知りません。
この一件がさらなる波紋を引き起こします。
緋の稜線
公衆の面前で接吻されたと嘆く母。
人工呼吸で瞳子は助けられたのだと
そう説明をする次女の寿々子姉さんですが
母はそれでも見ず知らずの男の人にされるくらいなら
死んだ方がましだと嘆きます。
さらに龍一と新之助からはどちらかを選んで
結婚してほしいと言われます。
公衆の面前で接吻させられては
もう嫁入り先はないから責任をという流れです。
そういうことを気にしない人と結婚するからと
ふたりの申し出を断る瞳子ですが
本当は見知らぬ男の人との
見合いが決まっていたのでした。
もう逃げられない・・・
瞳子は自身の運命に絶望するのです。
見合い相手の顔に見覚えがありその人は以前
新之助の喧嘩を助けた時に
頭で戦うことを助言して男性でした。
その2週間後、瞳子は各務の家に嫁いでいましたが
各務昇吾の姿はありません。
瞳子に必ず戻ると告げ出征していたのでした。
それもあり各務家の中で瞳子は
蚊帳の外にいるような状態。
義理の妹とも打ち解けずにいると
つわりに似た症状が現れ期待をされます。
ますます自分の意志に反する状況に追い込まれる瞳子ですが
各務家の配慮で一旦実家に帰ることが叶うのでした。
再び各務家に戻ると良かれと思う気遣いをされてしまい
それが余計につらく思う瞳子です。
さらに不得意な裁縫を義母や義妹に手伝ってもらうことで
肩身が狭く追い込まれていきます。
そんな矢先、昇吾からの手紙が届きますが
瞳子のことには触れていませんでした。
実はもう1通、瞳子宛の手紙が届いていたのですが
それを義妹が隠し破り捨ててしまっていたのです。
戦争は悪化し各務が経営している百貨店も
閉店を余儀なくされ食べるものに不自由に・・・。
それでも義妹はわがままで言いたい放題・・・
さらに空襲で本宅が全焼し
義父が亡くなってしまいます。
義母は生きる気力を失っていきますが
瞳子はそんな苦境に負けまいと
各務家を守ろうとするのです。
サイト内より【緋の稜線】と検索。
緋の稜線の感想は?
大正時代から昭和にかけて瞳子という女性が
時代に贖いながら生きていく物語。
結婚は親が決めるもの、結婚は家同士の繋がり
女は子を産み育てるのが当たり前・・・。
そんな時代に瞳子は
好きな人と結婚することを望みます。
瞳子という人物は今の時代の女性なら
極々普通の当たり前の願望で望んで努力すれば
手にできないこともないことばかり。
ですが時代が変わり戦争のおかげで
苦労して何度も窮地に立たされます。
緋の稜線
瞳子が女性というだけで味わったであろう言動や待遇
今の時代なら考えられないことばかりですが
昭和初期から戦時中はそれが普通だったのですよね。
全体的に重苦しい展開なのですが
負けないと奮い立たせる瞳子には
女の底力を見せつけられます。
強く逞しく女性が生きる姿を描いた本作。
男性にはやや敬遠されがちな絵柄ですが
読み応えがありますので
老若男女問わず読んでいただきたい作品です。
サイト内より【緋の稜線】と検索。