なせもえみ先生の作品の限界家族～骨肉の刃～。
住宅街に響き渡った悲鳴・・・
見知らぬ男に包丁で刺されたという妹・・・。
目撃者は被害者の姉のみですが事件の真実は！？
そして悲しい動機とは――・・・。
実際の事件を元に構成された
衝撃の暗黒ファミリー・ドキュメント！！
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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限界家族～骨肉の刃～のあらすじは？
平成4年3月5日、高知県のK市――・・・。
事件は早朝6時50分頃
住宅街に立つ一戸建てで起こりました。
「おとうさん！お願い早く来て！」
そう大声で父親を呼ぶゆかり・・・。
その腕の中には包丁で刺され
意識のない妹のえりかの姿が。
そんなバカなとえりかの名を
叫ぶように呼び続ける父親・・・。
事件の唯一の目撃者は姉の春川ゆかりだけ・・・。
ゆかりの話によると・・・
えりかはこたつでうたた寝をしているところを
いきなり乱入してきた男に刺されたというのです。
限界家族～骨肉の刃～
事件から遡ること13年前の昭和52年――・・・。
春川家には2人目の女の子が生まれました。
用意されたベビーベッドには
“えりか”と命名札・・・。
まだ幼かった頃のゆかりが父親に訊ねます。
「パパ今日赤ちゃん来る？」
よくわかったと賢いと褒められ
ニコニコ顔のゆかり。
チャイムがなり母親が赤ちゃんを連れて
帰ってきました。
「ママァ ゆかりお姉ちゃんなの！」
そう元気よく母親に言い
赤ちゃんを見せてもらいます。
小さな赤ちゃんをみて和んでいると
お腹がすいた赤ちゃんが泣き出します。
ミルクの時間だったようで
父親にゆかりとえりかを任せミルクを作りに。
突然、現れた妹のえりかは
小さく頼りなくて・・・。
ゆかりはまだ3歳でしたが
幼心にも守ってあげたいと思っていました。
可愛い妹ができて嬉しかったこの瞬間から13年・・・。
なぜあのような残忍な事件が
起こってしまったのか・・・。
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限界家族～骨肉の刃～のネタバレとその後の展開は？
生まれたばかりのえりかを守ってあげなきゃなんて
そう思っていた気持ちも成長とともに変わっていきました。
人形を引っ張りあい喧嘩する2人・・・。
なんの騒ぎかと理由を聞く母親に対して
2人はそれぞれこう答えるのです。
「えりかがゆかりの人形をとろうとするの～」
「お姉ちゃんがゆかりに人形貸してくれない」
すると母親はゆかりにちょっとくらい
我慢してあげなさいとお姉ちゃんでしょと諭すのです。
しょうがなく貸してあげるゆかりですが
するとすぐにえりかは人形を返してくれました。
ほっとしたのもつかの間・・・
人形の腕が取れていたのです。
頭の中にお姉ちゃんなんだから
我慢しなさいという母親の声が響きます。
ゆかりは好きで先に生まれたんじゃないのにと
ポロポロと涙を流しました。
あるときも・・・
ゆかりは友人たちと家で宿題をしていました。
そこにえりかがジュースをどうぞと入ってきます。
普段は自分のジュースすら人に頼むのに
えりかは要領がよくゆかりの友人たちに
可愛がられるよう行動します。
ゆかりはそんなえりかに不満を感じるのでした。
限界家族～骨肉の刃～
けれどそんなえりかは勉強は苦手で
テストも酷い点数ばかりで
それには母親だってあきれぎみ・・・。
えりかと差をつけたい。
違いを見せたいと思ってか
ゆかりは中学受験をすることにし
そして努力したゆかりは見事合格！
母親と一緒に合格発表を見に行き喜び合い
父親たちにも知らせなくてはと電話をかけました。
するとえりかが交通事故に遭ったというのです。
2人はそのまま病院へ・・・。
怪我は幸い足の骨折ですみましたが
検査入院となり母親は付き添って泊まることに・・・。
事故が起きたのは偶然・・・。
けれどそのせいで合格祝いも後回しにされ
ゆかりはやはり我慢を強いられてしまったのです。
その後、6年生になったえりかは
急にゆかりと同じ学校を受験すると言い出します。
ですが全然足りない学力のため
母親はゆかりにえりかの勉強を
見てあげるようにいいますが
自分に甘いえりかは
受験勉強はほとんどしませんでした。
もちろん結果は不合格。
それをえりかは教え方が悪いから
ゆかりのせいで落ちたと人のせいにします。
母親は八つ当たりだから
真に受けることないと言いつつも
ゆかりにはお姉ちゃんなんだから
ワガママだと思って我慢してと言うのです。
受験のことがえりかの
心の傷にならないよう両親は気遣い
特にゆかりの学校の話を
意図的に避けるようになりました。
そのためゆかりは自分のことを
だんだんと話さなくなっていきました。
そんなことも考えず能天気なえりか・・・。
当番が決められた洗い物のお手伝いもせず
テレビを見て大爆笑・・・。
ゆかりが注意すると怒って部屋に帰ってしまいます。
やりたくなくても洗い物を残しておくと
仕事から疲れて帰ってくる母親の声が
負担になってしまうと洗い始めるゆかり・・・。
“お姉ちゃんなんてもう辞めたい”と思うのです。
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限界家族～骨肉の刃～の気になる結末は？
その夜――・・・。
「お姉ちゃんお願いがあるんだけど
期末テストに出そうなとこ
アンダーライン引いてくれない？」
部活で手一杯だからというえりか・・・。
そういう勉強法は良くないというゆかりですが
それにキレるえりか。
「どーせ私はバカですよー」
そう言いつつ勉強ばかりできても
根暗じゃ可愛くない！
両親もゆかりを取っつきにくいと言っていると
そう言ってきたのです。
話せない環境にしたのは自分のくせにと
ゆかりはえりかに本を投げつけ
その物音に母親が部屋に入ってきます。
すかさずえりかが自分に都合のいいように
いいわけします。
すると母親はまたお姉ちゃんなんだからと
ゆかりに言い部屋を後にしたのです・・・。
そしてゆかりの中でなにかが壊れたのです。
“あの子が憎い”
限界家族～骨肉の刃～
いつも我慢しなければいけないのは自分ばかり
好きで先に生まれたわけじゃないのに・・・
何一つ気遣ってもらえない！！
そしてそんな気持ちがゆかりを
犯行へと突き動かします。
ある日、勉強をしながら
こたつでうたた寝をしているえりか。
ゆかりは後ろから包丁を降り下ろします。
最初の見知らぬ男が乱入してきての犯行だと
そう話していたゆかりでしたが
すぐに容疑を認め自供を始めます。
「私・・・えりかがねたましかった。」
取調室で涙を流しながら話すゆかり・・・。
「私もえりかのように愛されたかったんです。」
どこの家にもあるわだかまり・・・
でも降り積もれば肉親の絆をも
押し潰してしまうのでしょう。
ゆかりたち家族だけでなく
多くの家庭崩壊の危惧が叫ばれている今。
どれほどの家族がそんな火種を
抱えているのでしょうか？
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限界家族～骨肉の刃～の感想は？
“お兄ちゃんなんだから”
“お姉ちゃんなんだから”
妹や弟がいると1度は
言われたことがある言葉だと思います。
ゆかりが両親に愛されていなかったといえば
決してそんなことはなかったと思います。
きっと同じように愛されていたでしょう。
けれども伝わらなかった・・・。
もう少し両親がゆかりにそのことを伝えてあげていれば
こんな結果にはならなかったのではないでしょうか・・・。
可愛い子どもたちを被害者
そして加害者にしてしまった罪を
両親は一生背負って生きていくのでしょう・・・。
そう考えるととても悲しい事件です。
限界家族～骨肉の刃～
決して両親のせいではない・・・
けれどもゆかりがこうなる前に何とか
できたはずではないかと思えてなりません。
誰かがこうなる前に気付いてくれたら
こんなことは起きなかったかもしれない・・・。
そうしたらゆかりの人生はもっと楽しく
素敵なものになっていたはずだろうし
えりかにも未来があったはず・・・。
小さなことの積み重ねが
殺人という重罪に繋がってしまう・・・。
実際の事件に基づいた話だと思うと
本当に悲しい、痛ましいことです。
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