鷹野久先生の作品の向ヒ兎堂日記。
妖怪の本を多く取り扱う一風変わった本屋
「向ヒ兎堂」に牡丹の怪が頼みごとをしにやってきます。
代々大切に育ててくれた牡丹の花を
植え替えてほしいというものでした。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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向ヒ兎堂日記のあらすじは?
時は明治――・・・。
1人の女の子がとある店の前にいると
1人の紳士が声をかけます――
そこはもう閉まっていると・・・。
気まぐれな店で文明開化のこの時代に
妖怪の本を扱っているおかしな本屋だと
紳士は女の子に説明をして去っていきます。
昔は妖怪の存在を信じていた者も多くいたのですが
文明開化のあおりで非文明的なものは没収され
罰金を科せられるそんな時代になっていました。
向ヒ兎堂日記
その流れに不満を口にするのは
先ほど紳士にそのような話をされた女の子です。
相手は本屋の店主・伊織。
妖怪は人に見えないだけでずっと共に暮らしていました。
西欧諸国に追いつくため見えたり見えなかったり
見た目の悪いもの変なものはすべて排除となったのです。
そしてその不満を口にする
女の子こそが妖怪だったのです。
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向ヒ兎堂日記のネタバレとその後の展開は?
巡査の見回り強化でこの本屋もいろいろ策を練り
排除対象を潜り抜けてきましたが
知れてしまうのも時間の問題のようです。
そろそろ日暮・・・。
店じまいをしようという話に変わると
最近店を閉めると特別なお客がやってくるのだと
そう伊織が打ち明けます。
するとその言葉を証明するかのように
1人の少女が向ヒ兎堂を訪ねてきました。
その少女が怪であると気づいた千代と伊織です。
訊ねてきた怪の少女は
千代が同じ怪であると気づきますが
人である伊織が力の弱い自分を
見れることを不思議がります。
伊織はわけあって形をなせない怪も
見える人間なのです。
千代は助けを求めにきた怪の話を聞きます。
彼女の頼みは旧市街の乃木邸から牡丹の花の
植え替えをしてほしいというものでした。
向ヒ兎堂日記
先々代が内職のためにと植えた一輪の牡丹
しかしそれが随分と綺麗に咲くので売るのを惜しみます。
それから代々、牡丹の花を
大事に育ててくれていたのでした。
しかし立ち退きを要求されるようになり
牡丹を壊したくない気持ちからその要求を拒んでいました。
しかしとうとう取り壊しがきまってしまいました。
せめて少しでも・・・
牡丹の怪の願いを聞き入れた
千代と伊織はすぐ行動に移します。
するとそこに猫の化け物が
牡丹を守ろうと邪魔に姿を見せます。
それが若い男の姿になると彼・銀もまた
牡丹の怪の話を聞き
牡丹を守るために行動をしていたのでしたが
今時化けて脅かしても効果はないと
伊織に言われてしまいます。
むしろそのせいで取り壊しが早まったのでした。
人手が増えたことで植え替えも無事終了
夜が明けると牡丹の怪は丁寧にお礼を告げ去っていきます。
最近変な依頼が多いと不思議がっていた伊織ですが
すべては銀が良かれと思って
怪たちの駆け込み寺的な存在として
向ヒ兎堂を宣伝していたことで理由が判明します。
こういうものも悪くないと思う伊織でした。
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向ヒ兎堂日記の感想は?
時代が大きく変わろうとしていた明治時代が舞台です。
時代の流れ他国に追いつこうと
古き良きものを政治的圧力で排除しようとする中
人と怪の架け橋になるような存在の伊織が活躍する話。
人である伊織がどうして怪が見えるのか
どうも憑かれているかららしいのですが
どのような怪に憑かれているのかは
序盤では語られていません。
本作は人間の横暴さから怪を守る的な流れが中心のようで
読後はとてもほっこりと優しい気持ちになれます。
向ヒ兎堂日記
国が権力を持って人の趣向まで意見する傲慢さが
読んでいてとても伝わってきます。
そんな流れに逆らうような立場にある伊織や怪たちには
屈することなく頑張ってほしいなと思います。
当たり前のようにあった今までが
変わっていくことの寂しさも滲み出ているので
少し大人向けの作品ともいえると思います。
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