涙なしに読めない穂積先生の名短篇。
人と人の間にある切なくも優しい思いが綴られる短編集。
何でもない出来事の描写の連続に
見事なまでに人の心を浮き彫りにしています。
表題作はその名の通り式の前日の話。
ひとひねりある短編ばかりなので短いのに読み応えも抜群です。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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式の前日のあらすじ!門出の裏面は別れ
表題作の式の前日は2人きりの姉弟の姉の結婚式前日の話。
天気のいい縁側でゴロゴロしている
のんびりした日常から全ては始まります。
彼は有給を取ってダラダラとしている弟で入社3年目で
働き通しでこの3年を過ごして来ました。
そして家事に勤しむのは彼の姉で明日、姉は結婚します。
![式の前日](https://haishin.ebookjapan.jp/contents/thumb/m/SX670360.jpg)
式の前日
何かと翌日の式の段取りを心配する姉と反応が薄い無愛想な弟。
なんでもない休日を特別いたわり合うこともなく普通に過ごします。
でも弟が有給を取ったのはあきらかに姉と1日過ごすため。
日の傾きとともに切なさが増していき姉弟の絆は
なぜこれほど強いのかと読み進めるうちに紐解かれます。
「それから~式の前日 後日譚~」では
1人になった弟の生活ぶりが描かれます。
留守中に義兄になった人から姉の急変を知らせる留守電が入りますが
それに気が付かず帰宅してからいつも通りに過ごす弟の姿。
普通の一人暮らしの男性ですが1人ではなく
新たに猫という家族が増えているので寂しさは半減。
けれど義兄からの不穏な連絡に
緊張しながら読み進めます。
門出と別れが表裏一体の表題作です。
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式の前日のネタバレ!広い意味で「愛」の物語
姉が嫁ぐ日の前日に暖かい日差しの元で始まるなんでもない1日。
その1日は太陽の傾斜とともに切なさが増していきます。
夕暮れ近くなり姉が最後の夕食の支度をし始め弟の好物を作り
夕食を食べ終えてお風呂の中で男泣きする弟が切なくて・・・。
この姉弟の絆がなぜこんなに強いのかと読み進め
やがて2人は両親を早くに亡くした
2人きりの姉弟だったことが分かります。
![式の前日](https://haishin.ebookjapan.jp/contents/thumb/m/SX670360.jpg)
式の前日
両親の代わりに弟の就学を支えた姉。
バージンロードを歩く彼女の隣を今度は父の代わりに弟が歩くのです。
後日譚ではその後の弟の暮らしぶりが分かって読者は一安心しますが
一方で義兄の電話が気になるまま物語が進みます・・・。
最後に慌てた義兄の電話は出産のために分べん室に入った
連絡だったことが無事に生まれた電話で分かります。
姉がどういう人と結婚したのかも透けて見えて
新しい生活が幸せに満ちていることを暗示してくれます。
「あずさ2号で再会」は帰らなくなった父と幼い娘の物語
「モノクロ兄弟」は同じ人に初恋をした双子が
初恋の女性の告別式で再会して飲む物語です。
「夢見るかかし」と「10月の箱庭」は少々ファンタジー要素がありますが
同じように優しく切ない物語が紡がれています。
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式の前日の感想は?
別れのあとには出会いがあり喜びと表裏一体で切なさがある
そういうことを何気なく見せてくれる素晴らしい作品集です。
涙なしに読める人は少ないと思います。
テーマが「2人」なのでしょうか。
主に2人の人物の心が見事に描き出されていきます。
![式の前日](https://haishin.ebookjapan.jp/contents/thumb/m/SX670360.jpg)
式の前日
浮き彫りになるのは誰もが持つ普遍的な思いやりの心。
物語は何でもないような日常の場面が切り取られていきます。
そこには決して大げさな場面も大げさな言葉もなく
言うなれば「こういう時って、こうするだろうな」と思える
とてもリアリティに溢れている情景とセリフの連続です。
けれどそれらの言葉や表情に2人の間に流れる悲しさや切なさ・・・。
それらが人と人の心のつながりについて
とても感じさせてくれます。
本当にどの作品でも見事に描き出される
「心」は優しくてあたたかくそして切ないものばかり。
淡々としながらもひねりが効いているので
読み応えも十分あります。
普段生活に追われている私達にも
同じように切なくて優しい気持ちがあると
思い出させてくれる素晴らしい作品です。
とても優しいきれいな涙が流せると思いました。
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